“AI自律飛行”で建設特化のSkydio製ドローンは何が革新的なのか?センシンロボティクスとの実証から探る:ドローン(4/4 ページ)
AIによる自律飛行で、建設ドローンの可能性を広げているSkydio――。Skydioのドローンは、従来のマニュアル操作の機体と異なり、人の技量に頼らず、非GPS環境下で自律飛行して3Dモデルを作成できるため、ドローン業務の工程全体が効率化される。
センシンロボティクスがSkydioを選んだワケ
ENEOSカワサキラボを実証の場として提供したセンシンロボティクスは、ドローンやロボットといったロボティクス機器(デバイス)そのものの「SENSYN Devices」、AIによるデータ分析やロボット制御など業務を自動化するクラウドプラットフォーム「SENSYN CORE」、業務ごとのデータ活用のための専用アプリ「SENSYN Apps」と、それぞれ分かれているレイヤーを組み合わせたサブスクリプションのサービスを展開している。
このなかでSkydioのドローンは、センシンロボティクスが掲げる「データ取得から、解析、レポート化までの全業務を一元化」でデータを取得する重要なデバイスの1つとしている。その先のデータ分析やデータの利活用は、両社共同で社内外での飛行検証を実施しながら、現場で求められている機能をSENSYN COREや業務用アプリ、外部のAPIとの連携で実用化することを目指している。
現時点では、SENSYN COREのデータ管理機能「Datastore」と既に連携している。Datastoreでは、データを取得して終わりではなく、データベースに格納をすることで、撮影日やプロジェクトごとのデータ自動仕分けやマーキングやコメントの記載など2次的な利用が可能になる。
センシンロボティクス エンタープライズ事業 ロボティクスグループ 浅原拓也氏はSkydioとの協業について、「今まで、非GPS環境下でのドローン飛行は高額なカスタマイズで対応してきたが、Skydio機であれば顧客にとってリーズナブルな非カスタムも選択肢に加わる。また、磁場干渉が起きやすい現場条件があっても、コンパスセンサーに頼っていないため、エラーが起きることもなく、ドローンが活躍する現場が今まで以上に広がる」と話す。
一方で3Dスキャンの活用例では、「地形の断面や盛土体積などの計測をはじめ、同一の場所で時間をおいて生成した3Dモデルで時系列での劣化検証、3次元で計測した地形データを用いた災害時に被災エリアの全体把握などでの利用が期待される。なかでも、現場の進捗管理で問い合わせが多く、積極的に提案していきたい」と抱負を語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ドローンセキュリティガイドを公開した「セキュアドローン協議会」に聞く(前編)―“レベル4”で高まるドローンリスク
2022年度中に人口集中地区(DID)での目視外飛行(レベル4)が解禁されることを見越し、建設業界でも活況を呈する日本のドローン産業。本格的な社会実装を目前に、測量や点検などで活躍の場が広がる建設業も含めて、ドローンに従事する者がいま心構えておくべきこととは何だろうか。 - ドローン撮影映像をリアルタイム共有、「SENSYN DC」がスマホやタブレットにも対応
センシンロボティクスは、これまでWindows版だけだったドローンのリアルタイム映像共有サービス「SENSYN DC(センシン ドローンコミュニケーションサービス)」をiOS/Android/Mac OSにも対応させ、スマートフォンやタブレットから複数人による映像共有ができるようになった。 - 回転する風力発電ブレードのドローン点検事例、DJI JAPAN産業用ドローン体験会
DJI JAPANは、埼玉県春日部市の「春日部みどりのPARK」で、DJI JAPANメディア向け産業用ドローン体験会を開催し、ドローン業界の動向や同社の概要や主力製品について紹介した。さらに、kiipl&nap ドローン部 部長 兼 長崎支店長の入柿雅一氏が登壇し、DJI製ドローンの活用事例を説明した。 - 浪工学園がドローンに特化した「専門学校関西ドローン大学校」を2023年4月開校、VR教育も
ドローンの利用分野が拡大するなか、今後はドローン運用に即戦力となる人材が求められるようになるのは必至だ。日本初のドローン専門学校となる浪工学園の専門学校関西ドローン大学校は、民間の資格取得機関では扱えない実践的な操縦実習やリスクアセスメント管理、国産ドローンの操縦資格取得などを実現する計画だ。 - “空の道”の整備進む、ドローン37台を運行管理システムに相互接続
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」を推進している。この計画では、インフラ点検などの分野で活用できる無人航空機やロボットの開発、社会実装するためのシステム構築および飛行試験などを実施。物流ドローンが都市部で安全に使える環境の整備を目指している。2019年10月23〜24日、福島県南相馬市の「福島ロボットテストフィールド」で行われた運行管理システムの相互接続試験では、一般事業者のドローンとつなげることを成し遂げ、ドローンを危険なく扱える土壌をさらに整えた。 - フジタがWebブラウザからドローンを操作可能なシステムを開発、今後は5Gを活用
フジタは、センシンロボティクスと共同で、Webブラウザを介してドローンのリモート操作と取得画像の共有が可能な「遠隔臨場ドローンシステム」を開発した。今後、両社は、ドローンの制御・通信に5Gを活用することで、映像の高画質化と通信の高速化を進めていく。