360度撮影で日本全域の建築空間を3Dデータ化、Matterportの市場戦略と最新Pro3など製品群:デジタルツイン(4/4 ページ)
建築物のデジタルツインなど空間データ利活用分野のリーディングカンパニーである米Matterportは2022年4月、日本法人となるマーターポートを設立した。2017年の日本上陸以来、Matterportはあらゆる建物空間のデジタルツインを誰でも容易に作成できるソフトウェアを提供し、主に建築・建設分野で急成長してきた。日本法人設立を機に販売支援体制の確立を推進し、導入支援とサポート体制を拡充させ、幅広い分野へ展開していくことを目指している。
自分のスマホで精度の高い360度撮影
また、自身のタブレットやスマートフォンでも、無料アプリ「Matterport Capture」をインストールすれば誰でも手軽に360度撮影できるのは大きな魅力。しかし、スマホでの撮影には課題もあった。手ブレや位置合せ時の誤差により、高精度な360度撮影は難しく、撮影データから作るデジタルツインも品質が高くはなかった。
Matterport Axisは、問題払拭のために開発されたモーター駆動式の自動回転雲台。撮影したい空間にAxisをセットした三脚を置き、手持ちのスマホをMatterport Axisに装着すれば、リモコン操作で360度を自動回転しながら撮影できる。手持ちのスマホでも、高精度かつ一貫性を持った360度3D映像の撮影が実現した。
Matterportが今後のターゲットとしている企業内での業務でも、Matterport Axisが有用性を発揮するのは、撮影のプロではない現場スタッフが、さまざまな現場へスマホとともに出向き、撮影して迅速な報告や情報共有などが求められるような場合。また、複数の離れた建物を対象に、定期的な撮影や履歴を残す必要がある点検や管理の業務などでも役立つだろう。業種としては、住宅やオフィスの物件を扱う不動産仲介会社や管理会社、建設業や施設管理業、工場・プラント、小売業などが想定される。
もちろん、多少時間がかかってもより精度の高い360度映像やデジタルツインのデータが必要なら、Matterport Pro3やPro2の導入検討を行うべきだろうし、他社の360度カメラでも対応できるケースもある。また、さらなる最高品質を追求したい、撮影からプロに任せたい際は、Matterportキャプチャーサービスを利用して、プロ撮影技術者による撮影代行サービスも選べる。
こうした用途や社内事情、予算、スケジュールなどに合せて常に最適な手段を選べるのがMatterport最大の特徴といえるだろう。
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