法改正で煩雑化する業務や高齢化する不動産業者の問題を“スマートロック”で解決、MIWA Akerun Technologies:不動産テック(3/3 ページ)
高い堅牢性と施工性を誇るスマートロックと、強固なクラウド基盤と累計7000社以上の採用実績があるアプリとの連携から誕生した「Akerun.Mキーレス賃貸システム」。賃貸物件のキーレス化で、不動産の管理業務が抱える課題を解決し、不動産テックを推し進める。
クラウドを介して鍵も物件も一元管理
Akerun.M キーレス賃貸システムの仕組みは、まずマンションやアパートなどの賃貸物件の共用部と専用部に、住宅に最適化した美和ロック製スマートロックを設置。鍵に関する電子情報は、クラウドで管理する。
管理会社には、Web管理システムを提供。鍵の種類(スマートキーアプリ、ICカード、テンキー用暗証番号)の設定、権限の発行/剥奪はクラウド上で操作できるため、鍵管理業務で現場に出向く必要もない。
入居者には、スマートキーアプリを提供。アプリをインストールしたスマートフォンか、アプリに提示されるテンキー用暗証番号、または事前に登録したSuicaなどのICカードで施解錠する。
建物に設置するスマートロックには、市場に流通している既製品を使用しており全国で700カ所ある美和ロックのサポート網による手厚い施工サポートが受けられる。また、既に同じスマートロックを取り付けている物件ならば、後からでもAkerun.M キーレス賃貸システムにも変更可能。加えて専用部のスマートロックは、電源やネットワークが不要なため、古い建物でも導入しやすい仕様となっている。
入居者向けスマートキーアプリは、累計7000社以上での使用実績のある「Akerun」アプリをベースに開発。スマートフォンアプリから簡単にICカードの登録や変更ができたり、共用部の鍵権限を自動で連動させたりできるなど、入居者は負担を感じずに鍵管理できる。そしてこのことは、結果的に管理会社の鍵管理業務の軽減にもつながる。
複雑な操作が不要で、仲介会社の負担も軽減
管理会社側での操作は、仲介会社から内見の申し込みがあった場合は、Web管理システムの画面で対象物件を検索。検索結果から対象物件を選択して、部屋を指定。共用部の権限を発行したい場合は、共用部のチェックボックスにチェックを入れる。
その後、内見日時と、一時利用のテンキー用暗証番号の送信先電話番号を入力して、SMS送信ボタンを押すと、指定された携帯に物件名、日付、暗証番号が記されたショートメッセージが送られる。
入居者に電子的な合鍵(デジタル鍵)を渡す際には、Web管理システム画面で検索した対象物件のページから鍵発行リンクを生成して、入居可能日、暗証番号を送りたい電話番号を入力し、入居者の携帯にショートメッセージを送信。入居者は、送信されたメッセージに記載されたリンクをクリックしてアプリを立ち上げ、合鍵を受け取るという流れだ。
なお、アプリ機能で普段使用しているICカードをスキャンすれば、ICカードを電子キーとして利用することも可能だという。
渡邉氏は「管理会社は、Web管理システム画面での簡易な作業で、合鍵やテンキー用暗証番号を発行でき、仲介会社や入居者も複雑なスマートフォンアプリの操作が一切不要というのがシステムの大きな特徴」と強調した。
さらなる利便性と物件価値の向上を目指して
渡邉氏は、現状のシステムでも十分に管理業務の効率化を図れるとしたうえで、「今後はさらに利便性を高めるため、不動産管理会社が普段使用する内見予約システムや賃貸管理システムとの連携を強化し、管理業務のオールインワンシステムとしていきたい」との目標を掲げた。
また、既に進めているヤマト運輸との協業以外にも、さまざまな住宅サービス業者とともにし、入居者の利便性向上、物件価値向上にも努めるとした。
戸建て住宅へのサービス拡大については、「まずは、不動産管理業界が過渡期にあるとの認識から、賃貸住宅に特化したシステムからスタートした。当社は住宅向けのスマートロックサービスを提供する会社のため、将来は戸建てへの展開も考えていきたい」との展望を示した。
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