【独自分析】男女の賃金格差開示の義務化に向けて、建設業がやるべきことは何か?:建設業の人材動向レポート(44)(2/2 ページ)
本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR」が独自に調査した建設業における人材や市場動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、男女の賃金格差の開示を義務付けた女性活躍推進法の改正省令について解説する。
男女の賃金差異の職種別では、「建設技術者」は77.2%、「土木技術者」は83.5%
職種別にみると、「建設技術者」は77.2%で、「土木技術者」は83.5%となっており、建設業平均の71.7%よりも男女の差異は小さくなっている(図表2)。所属する会社の分析を行う際は、こうした業種平均や職種平均のデータを念頭に置いた上で実施するべきである。
男女の賃金差異が発生する要因を分析して、自社の実情を正しく伝える
所属する会社と建設業平均を比較して、所属会社のほうが男女の賃金差異が大きい場合は、要因を分析することが重要になる。男女の賃金差異が大きいということだけが独り歩きすると、女性社員の採用活動で悪影響を及ぼしかねない。
賃金差異の要因として考えられるのは、平均勤続年数や管理職比率、職種、学歴などの相違といった多種多様なケースがあり、何が自社の男女差異の大きな要因になっているのかをデータで明確に示すことも欠かせないだろう。
例えば、「正規社員全体における男女の賃金の差異は、この割合(%)であり、業種平均より大きいが、その要因は比較的賃金の低い若手の女性社員の比率が高いことである。また、建築技術者に絞ってみるとこの割合であり、職種平均よりも差異は小さくなっている」といった背景を説明することなどが挙げられる。
今回の法改正に伴う情報公開に際しては、任意で情報を追加できる「説明欄」があるため、その欄を有効活用するなど、情報公開の義務化を積極的に活用してもらいたい。
著者Profile
建設HR
建設HRは、総合人材サービス事業を行うヒューマンリソシアが運営する「建設人事のお悩みに寄りそう」をコンセプトに、建設業界人のお困りごとに寄りそい、ともに向き合い、ときには半歩先の未来を提案するHRビジネス・パートナーとして、さまざまな記事などを発信するメディア。
同編集部では、建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析に関する独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信も行っている。
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