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「昨年は公共工事が下支えも今後はやや減少か」建設市場の2021年振り返りと2022年展望建設業の人材動向レポート(40)(1/3 ページ)

本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR」が独自に調査した建設業における人材や市場動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、「建設総合統計」をベースに、建設市場の2021年振り返りとともに、2022年の動向も予測している。

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 今回は、国内の建設活動を出来高ベースで把握することを目的とした統計の「建設総合統計」から、建設市場の2021年を振り返るとともに2022年の動向について考察する。

2021年の建設工事の出来高は、2020年を上回るレベルで堅調に推移

 公表されている2021年9月までの月別の建設工事の出来高(建設業における売上高に該当する)について、過去3年間を調査したところ、2021年は徐々に2020年の実績を上回り、回復している傾向が見てとれる(図表1)※1

※1 本レポート執筆時、2021年の国土交通省「建設総合統計」の最新データが9月まで公表されていることに合わせて、建設工事の出来高は、各年の1月から9月までの出来高の比較としている


【図表1 建設工事の出来高の月別の推移】 出典:国土交通省「建設総合統計」より建設HR 編集部が作成

 また、各年の1月から9月までの出来高の累計では、2021年は39兆148億円と、2020年の38兆7735億円から微増(0.6%増)した一方で、2019年の39兆1799億円を0.4%下回った(図表2)。


【図表2 各年の1月から9月までの出来高累計の比較】 出典:国土交通省「建設総合統計」より建設HR 編集部が作成

 こうしたデータから、2021年1月から9月までの出来高は、東京オリンピック・パラリンピックを控えて建設需要がピークを迎えていた2019年を下回るも、2020年を上回り、比較的堅調に推移しているといえる。

2021年の民間工事出来高は、2020年比では0.3%上回り、回復傾向

 続いて、民間工事の出来高について、1月から9月までの過去3年間を月別で比較すると、2021年の出来高は2019年比では全ての月で下回り、2020年比でも1月から4月までは減少となった。しかし、5月以降は2020年比で増加に転じ、2021年半ば以降、徐々に民間工事が回復してきていることが分かる(図表3)。


【図表3 民間工事の出来高の月別の推移】 出典:国土交通省「建設総合統計」より建設HR 編集部が作成

 また、各年の1月から9月までの民間工事出来高の累計をみると、2021年は東京五輪を控えて工事量がピークに達していた2019年(23兆7510億円)と比較して6.1%減となる22兆3050億円と大幅に下回った。一方、22兆2479億円となった2020年との比較では、若干上回る実績(0.3%増)となった(図表4)。


【図表4 各年の民間工事の出来高累計の比較】 出典:国土交通省「建設総合統計」より建設HR 編集部が作成

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