住宅建設時のCO2排出量を見える化するソフトウェアの日本版を発売、住友林業:カーボンニュートラル
住友林業は、住宅建設時のCO2排出量などを見える化するソフトウェア「One Click LCA」の日本語版を販売している。今後は、サプライチェーン全体でのCO2排出量の見える化を促進するために、資材メーカーと環境認証ラベル「EPD」の取得や普及に取り組んでいく。
住友林業は、住宅建設時のCO2排出量などを見える化するソフトウェア「One Click LCA」の日本語版を2022年8月8日に発売した。
BIMやExcelとの連携も可能
全世界のCO2排出量に占める建設部門の割合は約37%とされており、建設業界では脱炭素化の取り組みが求められている。一方、建設部門におけるCO2排出量の内訳は、全体の70%が居住時に排出されるCO2(オペレーショナル・カーボン)で、残りの30%は建設時に排出されるCO2(エンボディード・カーボン)。
居住時のCO2排出量は、ZEH(net Zero Energy House)の普及により削減が進んでおり、建設時のCO2排出量削減が望まれている。
そこで、住友林業はOne Click LCAを発売する。One Click LCAは、住友林業が2021年11月に、フィンランドのOne Click LCAと日本単独代理店契約を締結したソフトウェアで、建設で必要な原材料調達、加工、輸送、建設、改修、廃棄時のCO2排出量(建てるときのCO2排出量)を精緻に算定する。
具体的には、建物に使用する資材のデータを基に、建設時に行われる原材料調達、加工、輸送、建設、改修、廃棄時のCO2排出量などを効率的に算出する他、BIMやExcelとの連携も可能。
さらに、建設時のCO2排出量を正確に算定することで、「資材調達」「輸送」「施工」「解体」といった各段階で企業が実施しているCO2排出量削減の取り組みを算定結果に反映させられる。加えて、資材の環境認証ラベル「EPD(Environmental Product Declaration)」を使用することで、サプライチェーン全体でCO2排出量を見える化する。
また、算定に利用する資材データを含むライフサイクルアセスメントは、ISOに準拠しており、「LEED」や「BREEAM」といった50種類以上の環境認証に対応している。
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