風力発電設備のブレード点検システムを開発、センシンロボティクス:製品動向
センシンロボティクスは、日立パワーソリューションズと共同で風力発電設備のブレード点検システムを開発した。開発にあたっては、センシンロボティクスが保有する業務自動化統合プラットフォーム「SENSYN CORE」の機能をベースにすることで、短期間で高性能のブレード点検システムを創出した。
センシンロボティクスは、日立パワーソリューションズと共同で風力発電設備のブレード点検システムを開発したことを2022年2月9日に発表した。
ドローンで1つのブレードに対し5方向から精細に撮影
近年、政府が公表した「カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、再生可能エネルギーを主力電源としていくことが明記されており、風力発電設備の導入拡大が見込まれている。
一方、風力発電設備は、ブレードの点検不備と整備不良による故障や事故が発生するケースが多いことから、2021年3月に日本風力発電協会(JWPA)によって「風力発電設備ブレード点検および補修ガイドライン」が定められたことで、風力発電事業者には安全かつ安定稼働に向けた保守対策が求められている。
そこで、センシンロボティクスと日立パワーソリューションズは、風力発電設備のブレード点検システムを開発した。ブレード点検システムは、ドローンの自動撮影技術とAIによる画像解析技術を使用することで、風力発電設備1基当たりの点検時間を短縮するとともに高精度な点検を達成。
具体的には、利用するドローンは、パイロットの操作技術を必要とせず、高水準で安定した自動飛行を実現し、ブレード点検の効率向上を支援するだけでなく、1つのブレードに対し、5方向から精細な撮影が行える。
さらに、点検データは、ドローンで撮影した膨大な画像データを、各風力発電設備や各撮影方向などに自動で振り分けて分類管理が可能な他、過去の点検データと比較することにも対応する。
加えて、得られた画像データをAI解析することで、損傷の部分や状態を自動判定するだけでなく、点検結果はシステム上で見える化し、レポートの自動作成が行えるため、関係者間でタイムリーな情報共有を実現。将来的には、損傷傾向や補修履歴などをナレッジデータとして管理し、分析することで、ブレード性能を維持するための最適な保守計画の立案をサポートする。
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