清水建設がローカル5G環境で超高精細映像転送システムを実証、88%が継続利用を希望:ICT
清水建設は、大阪府で開発を進める「新名神高速道路梶原トンネル工事」に「超高精細映像転送システム」を試験導入し、現場の安全管理における有用性を確認した。今回の取り組みは、総務省が公募した「令和3年度 課題解決型ローカル5Gなどの実現に向けた開発実証」の一環として実施したもので、清水建設、西日本高速道路、シャープの3社による共同実証。
清水建設は、施工エリアの広い土木現場における安全管理の高度化を目的に、8Kカメラで取得した超高精細映像をローカル5G(第5世代移動通信システム)で伝送し、リアルタイムに人や建設機械のマーキング処理を行う「超高精細映像転送システム」を、大阪府で開発を進める「新名神高速道路梶原トンネル工事」に試験導入したことを2022年6月3日に発表した。
全体の91%が「夜間の作業環境下でも作業領域の認識が容易に」と回答
ローカル5Gは、ユーザーのニーズに応じて独自の高速通信ネットワークを構築する自営無線システムで、利用者は通信事業者に依存することなく、高速大容量や超低遅延、高信頼、多数同時接続といった高度な通信環境を構築する。
そこで、清水建設は超高精細映像転送システムを開発した。高精細映像転送システムでは、ローカル5Gを介して、作業エリア全体を撮影した超高精細な8Kストリーミング映像をクラウドへアップロードし、自動抽出した人や建機のマーキング処理をAI解析により行い、管理者の目を注視すべき作業領域へスムーズに誘導。
さらに、マーキング処理されたライブ映像に関して、任意の箇所を高精細な映像のまま配信し、拡大表示する機能も備えている他、ライブ映像は、PCやタブレット端末、スマートフォンでもWebブラウザを通して見られるため、遠隔地からでも現場状況を詳細に調べられる。
新名神高速道路梶原トンネル工事の現場では、供用中の高速道路上空に仮設桟橋を夜間に架設する高難度の作業エリアを対象に、超高精細映像転送システムによる超高精細映像の伝送やAI解析、マーキング処理、ライブ映像配信などの機能を検証した。
実証期間終了後、工事関係者にアンケート調査を行った。その結果、全体の91%が「視認性が低下する夜間の作業環境下でも作業領域の認識が容易になる」と回答し、96%が「任意の指定箇所の拡大表示機能が有効」と答えた。加えて、超高精細映像転送システムの継続利用を希望する利用者は全体の88%に達し、システムの有効性が分かった。
今後は、超高精細映像転送システムの人と建機に対する検出精度の向上や作業者へのアラート周知方法について機能改善に取り組み、施工現場における安全管理の高度化を進めていく。
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