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注目の“メタバース”で住宅業界は進化するか?アバター内見など、スウェーデンハウスらが示す未来像不動産テック(3/3 ページ)

コロナ禍では、あらゆる業種で、オンライン関連サービスの普及が進んでいる。「リアルからバーチャルへ」という社会状況の変化に、住宅業界はどこを目指して進めばよいのか。スウェーデンハウス、野原ホールディングス、homieの3社が、Web戦略のいまと、メタバースの利用も視野に入れた未来像を語った。

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目指すのは、リアルとバーチャルを活用したハイブリッド型事業展開

 1枚のイメージ画像とは、遠く離れて暮らす家族がVRゴーグルをかけ、バーチャルのモデルハウスを一緒に内覧している風景だ。大川氏は、「これがスウェーデンハウスと野原ホールディングスが考える未来のモデルハウス見学の姿。2024年までには実現したい」との意気込みを語った。


スウェーデンハウスと野原ホールディングスが考える未来のモデルハウス見学のイメージ

 ただし、Webやメタバースなどのオンライン関連サービスに、“特化すること”とはしないという。リアルとオンラインが融合したハイブリッド型――それが思い描く未来の事業展開の姿だ。

 通常、住宅購入を検討するプロセスは、資料請求し、モデルハウスを訪ね、ハウスメーカーの営業マンと商談する。メタバースならば、この全ての過程を、人に会わずに仮想空間内だけで完結できる。メタバースによってそういう時代が来るはずだと、イメージしている人も多いだろう。

 大川氏も、「Webやメタバースだけで住宅を購入できる仕組みは、2〜3年後には登場するだろう」と予測しつつ、次のように続ける。「住宅は非常に高価な買い物。Webやメタバースを介して自分が調べた情報だけで購入するのは、リスクが高い。住宅を購入した先輩やプロに相談したいという気持ちが当然、生まれるはずだ。そして、その気持ちに応えられるのは、リアルなモデルハウスでの体験だと思う」と持論を述べる。

 大川氏が「どこにいてもリアルなモデルハウスを見られることにこだわった」と語る通り、野原ホールディングスと共同制作したVRウォークスルーは、CGなどでは再現しきれない、リアルに近い質感・クオリティーを備える。それでも、PC越しでの体験なので、木の匂いや肌触りといったものを直接感じることはできない。「メタバース化は着実に進めるが、それは、あくまでもこれから住宅購入を検討される方が、情報をより的確に得やすくするためのサービス。最終的には、現実の“人”(=営業マン)と、“物”(=モデルハウス)を体験いただく、ハイブリッド型事業展開を今後、強化したい」(大川氏)。

 VRモデルハウスは、あくまでも実物のモデルハウスを体験する前に、見て、確認し、調べるためのサービス。VRモデルハウスを体験して、実物を見たいと感じたときに、リアルなモデルハウスに出向き、実際の質感や、木の香り、音環境などを体験する。リアルとヴァーチャル、2つを自動車の両輪とし、事業を進めるという戦略だ。

3社が考えるWeb関連サービスの戦略

 スウェーデンハウスの村井氏は、「10年後には住宅産業はかなりシュリンクするだろう。いいものをつくり、それをいかに訴求するかが重要となる。Web強化はそれと連動する動き」と指摘し、引き続きWeb強化の戦略を採る考えを示した。メタバースに関しても、10年後に購買層になるZ世代やα世代ニーズに応えられるように進化させていくという。

 野原ホールディングスの野原氏は、2021年に発表した自社が進める住宅会社向けVR展示場サービス「inTOWN Cloud」について、参加する工務店やハウスメーカー数は着実に増えているが、住宅購入予定者には訴求し切れていないと分析。「今後は一般の方への認知など、さらに進めていきたい」との方針を明言した。


野原ホールディングスの住宅会社向けVR展示場サービス「inTOWN Cloud」

 homie 執行役員 木下悠氏は、「当社は、住宅不動産会社や不動産業界の営業が、一人一人の顧客を理想の住まいに導くプロになってほしいとの思いで、事業を展開している。今回の取り組みを通じて、一人でも多くの顧客とスウェーデンハウスとをつなぐ一助になれば」と抱負を語った。

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