国内初、大成建設が設計図書を構造化データに変換するツールを開発:建設DX
大成建設は、建物の設計、施工、維持管理一連のプロセスで必要な図面や仕様書からなる設計図書を構造化データに変換し、目的別に可視化するプログラムを開発した。設計図書には、部屋名、面積、材料、法規、メーカーなど多様な情報があり、利用者ごとに情報の優先順位が異なる。解決策として、大成建設は構造化したデータを利用者ごとに自在に抽出し、目的別に可視化できるBIダッシュボードの作成を複数のプロジェクトで実施した。これにより建設生産DXの基盤となるデータ構築が可能となり、設計図書の効率的なデータ活用の推進につながる。建設業界で、このような設計図書の構造データ化とその活用は初めての試みだという。
大成建設は、建物の設計、施工、維持管理一連のプロセスで必要な図面や仕様書からなる設計図書を構造化データ※1に変換し、目的別に可視化するプログラムを開発したことを2022年5月9日に発表した。
※1 構造化データ:単なる文字列のデータをコンピュータが自動で情報を解析・分析できるようにテキストに意味や情報を加えることを指す。
設計情報を自動でダッシュボードとして再構築
これまで建設業界では、DXを推進するにあたり、設計図などの情報をBIMなどにデータ化することを進めてきた。しかしながら、現状における建築基準法などの適用範囲は、設計図書を書面として印刷したものだけとされており、設計情報の要となるBIMデータがその対象に含まれていないため、BIMデータと設計図書を連携することが困難で、DX化の課題とされていた。
そこで、大成建設は今回のプログラムを開発した。プログラムは、「AI技術を中心としたテクノロジーの活用による新たな価値を提供する」ことを標ぼうしている東京大学発のスタートアップ企業である燈協力のもと、BIMデータから作られる法律に適合した設計図書をフォーマット化し、構造化データとすることでDXの実現につなげた。
これにより、建設会社に保存されている膨大な紙図面や設計図をビッグデータとして使え、設計情報が自動でダッシュボードとして再構築され、瞬時の比較と分析が可能となる。
さらに、ビッグデータのBIダッシュボード※2化は、点在していた情報を再構築し、見たい人が欲しい情報だけを瞬時に手に入れられるため、生産性の飛躍的な向上につながる。
※2 BIダッシュボード:経営戦略に向けた意思決定手法であるBI(Business Intelligence)を用いて、データに基づいた意思決定ができるようにデータをリスト化し、可視化することを指す。
加えて、設計者がBI化したダッシュボードの項目を選択し、設計者に向けた意思伝達のコミュニケーションツールとして捉えることで、ベテラン設計者の設計図書に関する捉え方を経験の浅い設計者へ伝え、ナレッジの継承ツールとしての活用にも応じる。
今後、大成建設は、建築生産プロセスの中に、プログラムを組み込み、過去のデータを効果的に活用し、データドリブンを実行して、DXの実現に向け、積極的に活用と提案を推進する。
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