統合プラットフォームと共通データ環境を兼ね備える「Autodesk Construction Cloud」の提供開始:BIM
米Autodeskは、施工管理のBuildや数量拾いのTakeoffを網羅した建設業界向け統合プラットフォーム「Autodesk Construction Cloud」を日本市場で発売した。
米Autodeskは2022年5月10日、建設業界向け統合プラットフォーム「Autodesk Construction Cloud」の日本での提供を2022年4月に開始したことを発表した。
BIM 360とPlanGridの長所を盛り込み、共通データ環境を拡充した「Build」
Autodesk Construction Cloudは、施工のあらゆる段階でワークフロー、チーム、データを連携させ、リスクの軽減、効率の最大化、利益の向上を実現する建設業向けプロジェクト管理のクラウドプラットフォーム。これまでに、日本を除くアジア太平洋地域を含む、グローバルで200万件以上のプロジェクトに採用されたという。
国内でも「Autodesk BIM Collaborate」や「Autodesk Assemble」などの建設業向けソフトウェアはこれまで単体でも使われていたが、新たに「Autodesk Build」と「Autodesk Takeoff」も利用可能となり、全てを網羅したAutodesk Construction Cloudとして総合的にサービスが提供される。
施工管理ソフトウェアのBuildは、建設プロジェクトを予定通りに予算内での遂行を実現する。建設数量拾いソフトウェアのTakeoffは、2D数量拾いを行い、3Dモデルから自動で数量を生成。積算方法を個別にカスタマイズして、数量、プロパティ定義、モデルマッピング、分類などの情報を連携先にエクスポートできる。
Autodesk Construction Cloudの日本市場でのサービス開始について、Autodesk ACS アジア太平洋地域ディレクター トミー・プラヴィーン氏は、「日本の建設業界には、さらなる高度なテクノロジーの活用により、ビジネス成果を向上させられる大きなチャンスがある。デジタル化が急速に進む建設業界で、企業が競争力のあるコラボレーションを築き、創造力を得るには、プロジェクト関係者とデータを結び付けることが不可欠。この度、日本でも総合的な建設管理プラットフォームへの利用が可能になり、設計から施工に至るまで、あらゆるデータを一元管理できるようになる」とコメント。
統合プラットフォームと共通データ環境(CDE)の上に構築されたAutodesk Construction Cloudは、元請事業者、工事業者、設計者、所有者などのプロジェクト関係者が、一元管理されたデータを活用することで、コラボレーションの単純化、プロジェクト変更範囲の予測、改善への指針などが可能になる。
大和ハウス工業 上席執行役員 建設DX推進担当 南川陽信氏は、「連携と協調を維持し、プロジェクト成果の向上を目指すには、一元管理されたデータをチーム全体で活用することが欠かせない。これまでは、BIM 360をCDEとして活用してきたが、Buildの日本発売前の先行評価に参加した結果、BuildがBIM 360と(施工管理用のアプリ)PlanGridの長所を全て取り込んだシンプルで強力なソリューションだと改めて認識した。Buildを利用することで、設計だけでなく施工現場も含めたプロジェクト全体におけるコミュニケーションやコスト管理をより円滑に進められることに加え、プロセスに連動した文書化と管理ができるため、仕事のスピードと質が確実に向上する」と話す。
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