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竹中工務店の「建設デジタルプラットフォーム」をオンプレミスからAWSへ完全移行、ITコスト25%削減クラウド(1/3 ページ)

竹中工務店は、営業から、設計、施工、維持保全に至る各プロセスや人事・経理なども網羅したプロジェクトに関わる全データを一元的に蓄積し、AIやIoTなどで高度利活用するための統合基盤として「建設デジタルプラットフォーム」を運用している。しかし、今以上の業務効率化や複数のプロジェクトを横断したデータ活用を進めるために、既存のオンプレミス環境から、AWS Japanのクラウドサービス「AWS」へと完全移行することを決めた。

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 竹中工務店は、建設に関する全業務をデジタル化するための統合基盤「建設デジタルプラットフォーム」を従来のオンプレミス環境から、Amazon.comの関連会社アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS Japan)のクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」の1つ「Amazon Simple Storage Service(AWS S3)」を基幹にすると定め、順次移行していくと2021年12月16日に発表した。

 今後、竹中工務店は2024年末までに、既存で運用している200以上の業務アプリケーションを現状のオンプレミス環境からクラウドのAWS S3へと移行させ、クラウドのメリットとなっている拡張性や信頼性と俊敏性を得るとともに、ITインフラに掛かるコストの25%以上削減を見込む。

 竹中工務店が独自に運用する建設デジタルプラットフォームは、これまで個別に管理していた建設プロジェクトのライフサイクル全体にわたるデータを集約して、一元管理するための統合基盤。

 今回、その環境がクラウドのAWSとなることで、協力会社やサプライヤーも含めてセキュリティを保ちながら共有し、一体化されているAIによる分析・予測やBIでのデータ可視化、IoTのセンシングで、より高度利用できるようになった。将来は、協力会社との共同での資材の搬入や据え付け状況をIoTでデータ取得し、BIMと連携させ、施設運用での利用にもつなげるといった建設生産プロセス全体でのデジタルツインを構想している。

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基調講演:
竹中工務店が建設DX成功の要と位置付ける“オープン BIM”

 本講演では、竹中工務店が、建設DXの鍵と位置付ける業務プロセス改革「竹中新生産システム」の中核を成す“オープン BIM”について、これまでの設計・生産・施工のデータ連携の取り組みと、その先に見据えるFM(ファシリティマネジメント)への展開など、BIMが切り拓く可能性も含め、BIMご担当者に余すところなく語っていただく。


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リアル現場とクラウドを融合した施工デジタルツイン

 同日に開催した発表会では、竹中工務店 グループICT推進室長 岩下敬三氏と、AWS Japan 技術推進本部 本部長 小林正人氏の両名が提携の意義を解説した。


竹中工務店 グループICT推進室長 岩下敬三氏 

 岩下氏によれば、竹中工務店では2025年までに「グループで、グローバルに、街づくりに関わる設計、施工、維持管理の建設生産プロセスでサスティナブルな社会の実現」を成長戦略に掲げている。

 その背景には、世の中では、いままさに第4次産業革命が進行しているが、建築の領域は、作業者が手作業で行っているのが現状で、ロボットによる自動化などにはまだ至らず、第2次産業革命で止まってしまっていることがある。また、1990年代には製造業と同等の生産性があったにもかかわらず、今では約半分の生産性しかなく、加えて技能労働者の高齢化により、10年以内に100万人規模の大離職時代を迎えることも確実視されている。別の要因として、2024年4月からの改正労働基準法の建設業への適用によって、労働時間の制約を受けることも懸念されている。

 こうした労働生産性の低さや労働力の制限という業界全体の抱える課題に対し、竹中工務店では、デジタル変革で乗り切るべく、2030年の目指す姿を策定。そのために必要な建設に関係するデータ活用のカギと位置付けるのが、建設の業務プロセス全体を網羅し、現実と仮想の“デジタルツイン”で活用するための「建設デジタルプラットフォーム」となる。

 建設デジタルプラットフォームは、建設に関わるあらゆるデータをプラットフォームに集め、多様なアプリケーションで業務をサポートする。施主や協力会社など多様なステークホルダーが同一のプラットフォームを一元的に利用することで、営業から、設計、生産、施工、維持管理までの建設生産プロセス全体を通した効率化と、ゆくゆくはサステナブル社会の具現化にもつながる新たな街づくりサービスの創出も期待されている。


建設生産プロセス全体を支援する「建設デジタルプラットフォーム」の相関図 提供:竹中工務店

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