日揮HDが風況を3Dで可視化する「メトロウェザー」へ出資、ドローン運航の安全性を確保:ドローン
日揮ホールディングスは、ドローンの安定飛行に役立つ、風況を3次元で把握する測定技術を有するメトロウェザーへ出資した。
日揮ホールディングスは、日揮と共同で運営するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「JGC MIRAI Innovation Fund」を通じて、風向きや風速を立体的に把握する測定技術を持つ京都大学発スタートアップのメトロウェザーへ出資したことを2022年4月11日に明らかにした。
メトロウェザーは、京都大学生存圏研究所で培ってきた気象計測と信号処理の技術をもとに、赤外線レーザーを周囲約10キロに放射し、大気中を漂う塵(ちり)の反射光から風況を3次元で捉える測定機「ドップラー・ライダー」を2015年に開発。空の風況を可視化することで、ドローン運航の安全性を確保し、エアモビリティー社会と安全・安心な都市生活の実現に貢献することを目指している。
日揮グループはCVCファンドを介し、「カーボンニュートラルの実現」「持続可能で強靭なインフラの構築」「人生100年時代を見据えた生活の質向上」「産業のスマート化」を対象に、安全・安心で持続可能な社会システムの構築に寄与する革新的な技術やビジネスモデルを有する国内外のスタートアップ企業に対して投資している。
今回の出資を通じて、日揮は、メトロウェザーの技術に日揮グループのエンジニアリング技術や各領域の知見を融合させ、高精度の風況シミュレーション(風況予測)を活用したプラントの生産性と安全性の向上に取り組み。また、洋上風力分野で、風力発電設備の建設地として想定される地点の風況予測精度が高まることで、適地選定や発電量予測モデルの開発に寄与すると期待している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 数値解析技術で広がる建築手法:「PLATEAU」でも採択、CFDの耐風設計など幅広い建築シミュレーションを可能にするアルテアの製品群
ここ数年で、建築物の耐風設計に、その精度の高さが認められ、数値流体解析(CFD)のシミュレーションを採り入れるケースが増えてきている。従来の風洞試験に比べると、耐風設計に要する工数が削減され、設計全体の大幅な時間短縮が期待されている。CFDソフトウェアの1つとして国内外の著名建築物で用いられているのが、アルテアの数値流体解析ソリューション「ultraFluidX」だ。 - メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2020:敷地面積50haのロボット開発拠点「福島ロボットテストフィールド」、2020年3月に開所
福島県南相馬市に、ロボット開発拠点「福島ロボットテストフィールド」が開所した。敷地面積50ヘクタールの広大な土地に、インフラ点検、災害対応エリア、水中/水上ロボットエリアなど、さまざまなロボットの実証実験を行う設備が揃(そろ)っている。 - シミュレーション:スーパー台風にも対応した数値シミュレーション「Kazamidori」、風の強さや流れを可視化
竹中工務店は、風が建物に与える影響を高精度に予測する数値シミュレーションの数値風洞「Kazamidori」を開発した。Kazamidoriは、風の強さや流れをコンピュータ上で計測し、風荷重(建物が風から受ける力)や風速を評価することで、建築と屋外の風に関する諸問題を解決する。 - 導入事例:世界初の試験装置でダウンバーストや竜巻の気流を再現、大林組が「環境工学実験棟」を更新
- AIで市街地の風環境を数分で予測、設計初期から検討が可能で迅速な合意形成に役立つ
大成建設は、AIを活用し、建物周辺で発生する複雑な風環境を簡易な操作により高速で予測する技術を開発した。設計の初期段階から風環境を考慮した検討が可能となり、関係者間での速やかな合意形成も実現する。 - 製品動向:国土交通省の出来形管理要領に「OPTiM Geo Scan」が準拠、オプティム
オプティムは、2022年3月31日に国土交通省が改定した「3次元計測技術を用いた出来形管理要領」を確認し、同社製の3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」が準拠していることを公表した。なお、3次元計測技術を用いた出来形管理要領に準拠している、モバイル端末を利用したLiDAR測量アプリは「OPTiM Geo Scan」が国内初だという。 - ドローン:ウェザーニューズ、航空気象サービスに強風リスク予測と瞬間風速予測を追加
ウェザーニューズは、同社の航空気象サービス「FOSTER-GO」に強風リスク予測と瞬間風速予測を追加した。ドローンやヘリコプターの安全運航に寄与するものとなっている。