東急建設がPCa部材製造を効率するシステムを実証、BIMモデルから板図などを自動作成:BIM
東急建設は、岩瀬プレキャストと共同で、PCa部材製造の生産性向上に向け、バルコニー板のBIMモデル作成から鉄筋加工までの自動化を目指したプロトタイプシステムを実案件で実証した。プロトタイプシステムは、今回の実証を経て、2022年度中にさらに改良するとともに、柱や梁(はり)といった構造部材での実用化に向け開発フェーズを移行する。
東急建設は、岩瀬プレキャストと共同で、PCa※1部材製造の生産性向上に向け、バルコニー板のBIMモデル作成から鉄筋加工までの自動化を目指したプロトタイプシステムを実案件で実証したことを2022年4月22日に発表した。
※1 PCa:Precast Concreteの略称で、専用工場においてあらかじめコンクリート製品を製作した後、建設現場へ運搬して設置を行う工法。一般にコンクリート構造物は、現場においてコンクリートを打設して造られるが、この工法の活用により生産性向上や使用材料のロス削減が見込める。
板図と鉄筋加工帳の自動作成や鉄筋加工手間の削減を達成
今回の実証では、東急建設が設計・施工を担当する「(仮称)京王電鉄バス中野車庫B敷地開発計画作業所(東京都中野区)」における標準PCaバルコニー板の一部を対象に、プロトタイプシステムを用いて、BIMモデルから鉄筋の自動生成、板図※1の自動作成、鉄筋自動加工機への連携を図った製造を2022年2月に行った。
※1 板図:PCa部材を製造するための部材設計図。通常、PCa部材製造会社が2次元CADで作成する。
その結果、プロトタイプシステムで、BIMモデルからPCa部材製造までの作業が問題なく実施され、板図と鉄筋加工帳の自動作成や鉄筋加工手間の削減を実現し生産性向上につながる省力化が得られることを確認した。加えて、PCa活用は材料ロスの削減にもなるため廃棄物のカットにも貢献する。
東急建設は、長期経営計画で「競争優位の源泉」の1つとして掲げている「デジタル技術」の領域で、サプライチェーン一気通貫のDXを目指しBIM設備設計会社「Indochine Engineering Limited」や積算会社「川村積算」の子会社化、PCa製品の製造販売を行う合弁会社「岩瀬プレキャスト」を設立している。
今回の実証を機に「PCa製作の自動化」を推進し、BIMによるプラットフォームの構築とそれによる建築事業のデジタルシフトを加速させていく見込みだ。
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