【最終回】画像認識技術の応用が建設現場を進化させる!:建設現場を“可視化”する「センサー技術」の進化と建設テックへの道のり(4)(2/2 ページ)
本連載では、日立ソリューションズの建設ICTエバンジェリストが、建設業界でのセンサー技術の可能性について、各回で技術テーマを設定して、建設テック(ConTech)実現までの道のりを分かりやすく解説していきます。最終回の第4回は、画像データを活用した画像認識技術とセンサー技術について、建設業界での活用例も交えて紹介します。
「LiDARセンサー」「デプスセンサー」「サーマルセンサー」の活用例
2つ目の技術は、「特殊なセンサー」を用いた技術です。ここでは、デジタルカメラのような通常の画像センサー以外のものを特殊なセンサーと呼ぶこととします。連載第3回で触れた「LiDARセンサー」も特殊なセンサーの1つです。LiDARセンサーは周囲にレーザを照射し、その反射波をもとに、センサーから物体までの距離を計測して物体の3次元形状を把握することができます。
同様に、物体までの距離を計測できるセンサーとしては、「デプスセンサー」があります。代表的なものでは、IntelのRealSense(Dシリーズ)があります。RealSenseは、赤外線ステレオカメラを装着しており、それを用いれば画像化された距離情報(以下、距離画像)が得られます。また、同時にデジタルカメラの画像も、距離画像とぴったり重なるように取得できます。
デプスセンサーの建設分野での活用例としては、鉄筋出来形計測を自動化するシステムが存在します。鉄筋出来形計測の自動化システムは、デジタルカメラの画像だけでは難しかった「画像からの鉄筋の抽出」と「鉄筋間の距離計測」を、デプスセンサーとデジタルカメラ画像の組み合わせで実現したものです。
他にも、コロナ禍で目にする機会が増えている「サーマルセンサー」があります。サーマルセンサーは、人の目には見えない遠赤外線を捉えられるので、物体の表面温度を検知することが可能です。
温度検知は、明るさの影響を受けないため、暗闇の中での利用が可能です。この特徴を生かし、重機にサーマルセンサーを取り付けることで、暗い作業場所でも的確に周囲の人物を認識して、安全性を高める活用例も出てきています。その他の建設業での活用例としては、建物の断熱性能の検査やタイルの浮き状況の検査(タイルが浮いているところと浮いていないところで温度差が発生する特徴を利用)などがあります。
こうした画像処理技術は今後、ロボット技術と組み合わせて発展していくと予想しています。なぜなら、建設現場でロボットが自動で施工や検査を行うには、現場の状況を把握する必要があり、そのためには画像処理技術が必須だからです。
これまで4回の連載をとおして、センサー技術と建設テックの動向を解説してきました。原稿を書きながら改めて感じたのは、技術動向の多様さと建設現場への適用の速さです。これからも、最先端の技術を組み込んださまざまな建設テックが現場に導入されるでしょう。最初はなかなか馴染まないシーンもあるかもしれませんが、センサー技術と建設テックで、建設現場がより働きやすい場所に進化していくと私は信じています。
★連載バックナンバー:
『建設現場を“可視化”する「センサー技術」の進化と建設テックへの道のり』
本連載では、日立ソリューションズの建設ICTエバンジェリストが、建設業界でのセンサー技術の可能性について、各回で技術テーマを設定して、建設テック(ConTech)実現までの道のりを分かりやすく解説していく。
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