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残コン・戻りコンを抑えるコンクリート打設管理の新アプリ、西松建設ら製品動向

西松建設は、フォーラムエイトと共同で、iPadに表示した施工図面に対し未打設部分の領域を囲み指示することで対象領域のコンクリート体積を計算し、最終的に必要なコンクリートの調整量を自動計算するアプリを開発した。さらに、新アプリを活用することで、調整時に必要なコンクリート数量を高い精度で弾き出せることを現場実証で確かめた。

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 西松建設は、フォーラムエイトとともに、コンクリート打設作業に伴い発生する残コン・戻りコン※1を減らすために、iPadに表示した施工図面に対し未打設部分の領域を囲み指示することで対象領域のコンクリート体積を計算し、最終的に必要なコンクリートの調整量を自動計算するアプリを開発したことを2022年3月25日に発表した。

※1 残コン・戻りコン:一般に、工事現場で使用されずに処分される余ったコンクリートが残コン・戻りコンと呼称される。

2022年度にフォーラムエイトを介して新アプリを外販する予定

 コンクリートの打設計画では、現場技術者が施工図を基に当日打設するコンクリート数量を手作業などで計算する。しかし、通常の計算方法は、図面から拾った体積の積算で、設備配管などの埋設物や型枠の変形が考慮されていないため、現場で実際に打設するコンクリート数量は、事前の計算結果と異なる場合も多くなり、残コン・戻りコンが生じやすい状況となってる。

 上記のような打設作業の手順は、まず現場技術者が、確実に打設するコンクリート数量を発注し、コンクリート打設作業を開始する。次に、残コン・戻りコンを少なくするために、既に発注したコンクリートが途切れず、現場作業が遅延しないように、可能な限り作業終盤に最終発注のタイミングを設定し、同時に未打設の範囲を実測・計算して、速やかに過不足を調整した発注量を決定しなければならない。

 このように現場では、打設状況、打設スピード、残数量、運搬時間、コンクリートの出荷状況などをリアルタイムに把握しながら、限られた時間で現場実測と計算が同時に行われるため、現場技術者にとって、コンクリート打設の管理業務は負担となっている。

 そこで、西松建設は、フォーラムエイトと共同で、現場技術者が施工図をモバイル・アプリ上で表示し、タッチペンなどを使用してコンクリートが打設されていない範囲を赤線で囲むと、その囲まれた範囲の体積を自動的に算出するアプリを開発した。


現場で新アプリの機能を使用して未打設領域を囲むように指定(イメージ) 出典:西松建設プレスリリース

 今回のアプリでは、システム上の配送管理者用画面で、配送管理者がアジテータ車のコンクリート荷卸完了時に時刻を入力することで、所定の時間内に荷卸したコンクリート数量がシステムに登録される。さらに、未打設範囲のコンクリート体積とあらかじめ発注しているコンクリート数量や荷卸したコンクリート数量の情報から、追加発注するコンクリート調整数量を自動で計算する。


新アプリのiPad操作画面(現場技術者用) 出典:西松建設プレスリリース

新アプリのiPad操作画面(配送管理者用) 出典:西松建設プレスリリース

 既に、西松建設では、RC造の共同住宅を施工する現場で新アプリの検証を行い、未打設部分の体積が約10〜50立方メートルまでの段階的な進捗に合わせて計測管理した結果、計測値と実荷卸量の差は、最大が1.22立方メートルと平均は0.52立方メートルで、高い精度で調整数量を導き出せることが分かった。

 今後は、アプリのシステムによる計測・計算の傾向を把握し、精度を上げていくと同時に、ユーザーインタフェース(UI)の利便性向上を図っていく。また、2022年度に、フォーラムエイトを介して新アプリを外販する予定だ。


新アプリによる施工図の3次元化と体積の自動計算 出典:西松建設プレスリリース

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