ARにより室内環境をリアルタイムに見える化する新たな技術、安藤ハザマら:導入事例
安藤ハザマは、富士ソフトと共同で、Microsoft製のヘッドマウントディスプレイ端末「HoloLens 2」を活用した室内環境可視化技術「環境ウォッチ ver.2」を開発した。環境ウォッチ ver.2では、従来技術「環境ウォッチ」で備えていた「事前実施したシミュレーション結果の表示機能」に加え、センサーで計測した温度や湿度などのデータをリアルタイムも室内にAR表示する。利用者は事前のシミュレーションと現在の室内状況を実スケールで確かめられ、これまで見落としがちであった問題点を発見するツールとして使える。
安藤ハザマは、富士ソフトと共同で、Microsoft製のヘッドマウントディスプレイ端末「HoloLens 2」を活用した室内環境可視化技術「環境ウォッチ ver.2」を開発し、安藤ハザマ技術研究所にて運用を開始したことを2022年3月29日に発表した。
3Dコンテンツの位置合わせにはQRコードを使用可能
安藤ハザマは、2018年に室内環境可視化技術「環境ウォッチ」のデモンストレーションを行い、参加した顧客から高い評価を得た。しかし、環境ウォッチは、室内環境の事前シミュレーション結果を表示する機能に特化していたことから、リアルタイムで室内の環境状況を見える化したいという声が利用者から多数寄せられていた。
そこで、環境ウォッチに「計測データのリアルタイム表示機能」と「クラウドでのコンテンツ管理機能」を追加し、環境ウォッチ ver.2を開発した。
環境ウォッチ ver.2は、センサーなどで計測した室内環境の変化を、クラウド連携により2分間隔でモデルに反映させながら実空間に表示する他、クラウドに蓄積したデータを利用し、時間をさかのぼって室内環境を確かめられる。
加えて、天井に設けた(空気)温度センサーのデータを計測用サーバで収集し、そのサーバからクラウドを介して環境ウォッチver.2に転送することで、実空間でのリアルタイム表示を実現する。
さらに、専用のWebアプリを使用することで、複数現場の室内環境データ(3Dコンテンツ)をPC上で簡単に管理できるだけでなく、3Dコンテンツの位置合わせにはQRコードを使える。QRコードを複数箇所に設置することで、端末を利用中に生じる、実空間とコンテンツの位置ズレを常に修正しやすい。
既に、安藤ハザマは、2022年2月に安藤ハザマ技術研究所で、環境ウォッチ ver.2を適用し、運用を開始した。具体的には、所内に配置しているZEB実証エリアで温度センサーデータと連携した室内温度分布のリアルタイム表示機能を適用するとともに、事前の3Dシミュレーション結果や設計BIMデータを複数切り替えてAR表示する機能を利用している。
今後は、竣工検査時における空調設備の確認と室内温度計測支援や建物引き渡し時に発生する顧客とのコミュニケーションツールとして、設計業務や施工現場で展開を図る予定だ。
また、現在は、温度や湿度などのスカラー量をドット表示するだけだが、風向風速のベクトル量やサーモグラフィーのような面データ表示への対応に取り組み、活用の幅を広げ、汚染物質の拡散度合や空間の快適性の可視化といった適用先の拡大に向けて開発を進めていく。
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