パナソニックのVRを使った街づくり支援:建設×VR/AR/MR
パナソニック エコソリューションズ社はVR(バーチャルリアリティー)を街づくりや施設計画に活用した「環境計画支援VR」のサービスを展開している。
パナソニック エコソリューションズ社のVR技術を使った都市計画サポートサービス「環境計画支援VR」は、行政をはじめ、不動産デベロッパー、大手ゼネコンなどに採用され、これまで800件以上のプロジェクトで支援実績がある。2018年5月16〜18日に東京ビッグサイトで開催された「第22回自治体総合フェア2018」で同サービスのデモンストレーションが行われた。
渋谷や池袋の再開発事業に導入
環境計画支援VRは、街づくりの都市空間や建築計画の施設を3次元化することで、計画をより具体的なものに可視化し、さまざまな角度からプロジェクトを確認することができるVRサービス。用途に応じてカスタマイズして提供するため、ユーザーそれぞれのニーズに対応した専用アプリケーションで、業務フロー全体の効率化・高度化をバックアップする。同社では、VRサービスを自治体、民間事業者、地元住民などといった関係者間の円滑なコミュニケーションを手伝い、より良い街づくりに貢献するプラットフォームと位置付けている。
標準機能としては、アニメーションの作成や建物ファサードがどこまで日を遮るかの日陰検討、物体移動やスケールの変更、複数の計画案や色彩の切り替え機能などがある。追加機能では、照明シミュレーション、気体・流体の確認、群衆の軌跡想定、サインの視認性などを確認するのに最適な運転シミュレーターが用意されている。デバイスはスマートフォン、タブレット、PC、サイバードーム、3DTV、3Dプロジェクタ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)と、多様なデバイスに対応する。
VRの活用方法としては、グランドデザインや企画構想の初期段階だけでなく、基本設計・実施設計、検討後の広報や営業活動に至るまで、使い方次第でプロジェクトの各段階で事業計画を支援する。さらに、以前のデータを残しつつ空間データを更新していくことで、開発前と後の差や時系列での変遷などの比較にも役立てられる。
一例として、渋谷駅再開発事業では、地下導線や災害対策など設計の検証に利用。街づくりのPR活動でも、VRデータをもとにしたAR(拡張現実)技術を使って情報発信が行われた。具体的には専用アプリをダウンロードして、渋谷再開発の雑誌広告を読み取ると、空中に渋谷の未来像が浮き上がる「ShibuyaAR」が展開された。直感的に渋谷の都市計画を体感でき、行政や住民への理解につながったという。今後の展開としては、VRデータと設計のBIMを組み合わせ、電線の地中化、道路の線形、樹木の配置など、周辺環境の整備検討が予定されている。
会場では、現在着々と大規模な整備が進んでいる池袋での採用事例も紹介。検討課題だった池袋駅の地下空間に掲出された案内サインと広告物をVR上で忠実に再現し、問題点を浮き彫りにして、サイン計画の方向性を検証することに用いられた。
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