LIXIL、住宅の断熱に対する意識調査:産業動向
LIXILは2021年12月、全国の20〜60代の計4841人に、住まいの断熱に関するインターネット調査を実施した。住宅の「断熱」と温室効果ガスであるCO2削減を関連付けている人は32%にとどまった。
LIXILは、2021年12月、全国の20代〜60代、計4841人(各都道府県103人)に、住まいの断熱に関するインターネット調査を実施した。
世界銀行は、地球温暖化を起因とする海面上昇や水不足により、2050年までに世界で最大2億1600万人が住居を追われると予測する。温室効果ガスの削減は、全世界で喫緊の課題だ。
日本では環境省が、住宅を含む家庭部門のCO2削減目標を2013年度比66%と定め、住宅の省エネ化は重要な施策の1つである。実際に、日本の住宅の高性能化は遅れており、既存住宅の約90%が現行の省エネ基準を満たしていないという。
まず、住宅の断熱は74%の認知があり、断熱性能への関心がある人も68%と高い割合であった。
一方、自宅の断熱性能は「あまり十分ではない」「十分ではない」が41%、冬に自宅で寒さを感じる人は65%で、徳島県、鳥取県、広島県、奈良県、兵庫県、和歌山県など中四国や関西など比較的温暖な西日本に集中した。
断熱性能は十分でないとしながら、断熱リフォームを「したことがないし検討したこともない」人が80%、検討した人が実施しなかった理由は「予算が合わなかった」が58%であった。
住宅の断熱が「CO2排出量の削減に貢献できる」も32%にとどまり、CO2削減量に効果的なのは「ガソリン車から電気自動車への転換」が62%と高く、次いで「省エネ住宅の購入、もしくは省エネリフォーム」が53%であった。
自身が実践したい地球温暖化対策は、「電気自動車の購入」29%、「断熱性能の高い窓の設置・交換」36%と住宅への関心が高いが、「衣類の長期使用」38%と身近な取り組みが最も多かった。断熱リフォームが身近な選択肢でないことが、高性能化が進まない理由の1つだと考えられる。
実際、断熱でイメージする家のパーツは「壁」83%、次いで「窓」60%だが、住宅を新築・リフォームする際に重視するポイントは、「水まわり」「間取り」「収納」が「断熱性能」「窓・玄関ドア」を上回った。
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