ボイラ内足場組み立ての課題解消、75%の省人化を実現する伸縮足場:新工法
JFEエンジニアリングと日綜産業は、作業人員の75%削減と足場工事の2日短縮が実現し、作業員の技量に左右されずに均一の仕上がりで組める新型の伸縮足場「アンブレラ・デッキ」を開発した。
JFEエンジニアリングと日綜産業は2022年3月22日、新型伸縮足場「アンブレラ・デッキ」を開発したと発表した。
新型足場は、建屋上部に設けた開口部から、小分けのパーツを内部に搬入して組み立て後、電動昇降させて使用するため、従来よりも安全かつ迅速に足場仮設が組めるようになる。
ボイラ内部の足場工事で75%の省人化と2日間の工期短縮
現状でごみ焼却プラントなどのメンテナンス工事では、高所作業が多いために設備の内部に単管足場を仮設している。狭い空間で大人数が長いパイプなどを扱う仮設作業は、災害発生のリスクが高く、組んだ足場は作業員の技量により、仕上がりが均一とならず、安全性にバラつきがあった。また、組立や解体に長期間を要することも、施設の長期停止の一因だった。
こうした課題を解決するため、2社は国内初を謳う新型伸縮足場を開発。新型足場は、少人数かつ短期間で設置することが可能で、より安全に安心して使用することができる。アンブレラ・デッキを用いた実証試験では、従来8人で4日間を要していたボイラ内部の足場工事を4人2日で完了させ、75%の省人化と2日間の工期短縮を達成したという。
ほかの導入メリットとしては、システム品の組み立て作業となるため、作業員の技量に左右されず、常に安全な足場を設置することが可能となる。フロアパネルの土台となる伸縮部は、横幅が広がるシザースリンク機構のため、多様なサイズに対応する。
足場の主要部材はアルミで、軽量でありながら高い強度を保持する。連結部にはピン接続を採用しているため、廃材が生じないのも特徴となっている。積載重量は450キロ、足場自重は680キロ、上部架台重は300キロ。操作方法は押しボタンスイッチ式で、操作資格としてゴンドラ取り扱い特別教育が必要となる。
現在は2022年度の製品化に向けて準備を進めており、今後はごみ焼却プラントをはじめ、各種ボイラ、サイロ・タンクなどの貯槽類、プラント機器・構造物の建設、メンテナンス現場へと用途を拡大していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 導入事例:トンネル1スパンの半断面をカバーする作業床を確保可能なシステム足場を開発、大林組
大林組は、トンネルの補修と補強工事における交通規制期間の短縮を目的に、トラック積載型システム足場「フラップリフト」を開発し、東日本高速道路発注のトンネル工事に適用した。 - 産業動向:鹿島建設が”首都直下地震”を想定したBCP訓練を実施
鹿島建設は、首都直下地震など大規模災害の発生時に通信環境や支店機能が失われたなかで、建設会社としてインフラ早期復旧や現場保全など、どうのようなBCP対応をすべきか、5つの観点から全社訓練を実施した。 - CIM:3Dと時間軸にコストが加わった“5次元”の施工シミュレーションシステム、奥村組が鉄道工事に適用
奥村組、パスコ、ビーイングは、建設工事の進捗管理と施工計画の変更に伴うコストの一元管理を可能にする5次元の施工シミュレーションシステムを開発した。 - 製品動向:協栄産業、BIM対応建築積算システムや見積書作成システムでサブスク開始
協栄産業は、BIM対応建築積算システム「FKS」および、見積書作成システム「KYOEI COMPASS」において、利便性向上を目的に新たにサブスクリプションサービスを開始した。クラウドでのサービス利用も可能となり、BCP対策や、働き方改革が進む中、リモートワークでも活用できる。 - 建設専門コンサルが説く「これからの市場で生き抜く術」(4):【第4回】人口減時代を乗り切る、地場ゼネコン2社の“サステナブル・モデル”事例報告
本連載では、経営コンサルタント業界のパイオニア・タナベ経営が開催している建設業向け研究会「建設ソリューション成長戦略研究会」を担う建設専門コンサルタントが、業界が抱える諸問題の突破口となる経営戦略や社内改革などについて、各回テーマを設定してリレー形式で解説していく。第4回は、地場ゼネコン2社の他には無い好対照の独自ビジネスモデルを例にとり、地方建設会社がいかにして持続可能性のある事業展開ができるのかを考察していく。 - Japan Home & Building Show 2021:重さ約10キロで薄く複数回の地震に耐えられる制振ダンパー、アイディールブレーン
アイディールブレーンは、薄く軽量で運びやすく、複数回の地震に耐えられる制振ダンパー「ディーエスダンパー」を開発した。