凸版印刷が津波と風水害の事前学習システムを開発、ストリートビューで浸水体験可能:第26回「震災対策技術展」横浜
凸版印刷は、防災科学技術研究所と共同で、住民が津波と風水害の事前学習を行えるオンライン避難学習システム「リアルハザードビュワー」を開発した。今後は、自治体をメインターゲットに2022年4月にリアルハザードビュワーをリリースする予定だ。
国内では、南海トラフ地震をはじめとする地震による津波災害や近年多発する風水害の発生時に人的被害を抑える方法として、住民への事前の防災教育と避難行動の理解が有効とされている。しかし、自然災害は発生時期の予測が難しいことから、住民が継続的に防災意識を保つことは難しい。
そこで、凸版印刷は、防災科学技術研究所と共同で、住民が津波と風水害の事前学習を行えるオンライン避難学習システム「リアルハザードビュワー」を開発した。同社は、地震や津波、水害、土砂災害などの対策技術が一堂に会する専門展「第26回“震災対策技術展”横浜」(会期:2022年2月3〜4日、パシフィコ横浜)に出展し、リアルハザードビュワーを披露した。
ブラウザからアクセスでき場所を選ばずに使用可能
リアルハザードビュワーは、3Dの地形と建物のデータなどを基に、ユーザーの自治体が管理する地域の浸水シミュレーションを実現する他、対象のエリアで時間帯ごとに変化する浸水状況を可視化し、あらゆる経路で360度の視界により体験できる。さらに、スマートフォンやPCで使えるブラウザベースのサービスとなっているため、使用する場所や時間が限定されない。
凸版印刷の担当者は、「リアルハザードビュワーでは、3D都市モデル“PLATEAU(プラトー)”やリモートセンシング技術センターの衛生画像といった軽容量のデータをWeb-GL※1でレンダリングし、防災科学技術研究所が手掛けたシミュレーションデータと連携して、グーグルのストリービューを重ね、一般消費者から見ても、リアルな居住地域の浸水シミュレーションを構築した。PLATEAUの3D都市モデルは、航空測量をベースに作られたものなので、俯瞰の3Dモデルはリアルだが拡大したモデルは抽象的なため、路面の状況などを判断しづらかったが、グーグルのストリービューを組み合わせることで、臨場感のある空間に仕上げた」と話す。
※1 WebGL:WebGLは、互換性のある任意のWecブラウザ上で、プラグインを使用せずに、2Dと3DのコンピュータグラフィックをレンダリングするためのJavaScript API
リアルハザードビュワーの活用シーンとしては、住民への防災イベントでの利用や学校の防災教育、自治体が運営している広報誌を通した使用を想定している。広報誌では、リアルハザードビュワーのリンクとなるQRコードを掲載することで、スマートフォンやタブレットからQRコードを用いてリアルハザードビュワーにアクセス可能。
「サービスのメインターゲットは自治体だが、他のシミュレーションとも連携する利点を生かし、浸水や災害のシミュレーションデータを保有する研究機関に販売することも検討している。」(凸版印刷の担当者)。
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