NEXCOの剥落防止性能の基準を満たした有機系剥落防止材を開発、宇部興産:製品動向
宇部興産は、東日本高速道路や中日本高速道路、西日本高速道路が推奨する構造物施工管理要領における剥落防止性能の基準を満たしたコンクリート構造物用の有機系剥落防止材「U-レジストクリアガード Y仕様」を開発した。U-レジストクリアガード Y仕様は、同社グループにおける建材事業の中核会社で、土木・建築用材料を販売する宇部興産建材が2022年1月に発売した。
宇部興産は、ウレタン樹脂の分子構造設計技術を土木・建築分野に展開したコンクリート構造物用の有機系剥落防止材で、東日本高速道路や中日本高速道路、西日本高速道路が推奨する構造物施工管理要領における剥落防止性能の基準を満たした「U-レジストクリアガード Y仕様」を開発したことを2022年1月17日に発表した。
幅0.05ミリの微細なひび割れが目視で確認可能
新製品のベースになった「U-レジストクリアガード」は、宇部興産 研究開発本部の基盤技術研究所・建築インフラ研究グループが開発した新規ウレタン樹脂を使用した剥落防止材で、コンクリートに侵入する二酸化炭素や塩化物イオンなどの劣化因子を遮断し、コンクリート構造物の長寿命化に貢献する。加えて、透明塗膜であることから、施工後も下地の目視点検が可能となり、コンクリートの状態変化を早期に検知することができる。
2020年11月には、「U-レジストクリアガード X仕様」も開発し、宇部興産建材が販売していた。さらに、同社は検討を進め、構造物施工管理要領における剥落防止性能の基準を満たすY仕様を開発した。
Y仕様は、既存のU-レジストクリアガードに相当する機能を持ち、ノンメッシュのため施工が容易でありながら、過酷な環境(-30〜50度)で優れた剥落防止性能を発揮する。宇部興産は、押抜き試験でY仕様が高い剥落防止性能を搭載していることをチェックした他、コンクリート下地にY仕様を塗布し幅0.05ミリの微細なひび割れが目視で確かめられることを確認している。
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