戸田建設が山留め芯材H形鋼のフランジに突起のない継手を採用、現場で添板装着不要:施工
戸田建設は、山留め芯材H型鋼のフランジに突起のない継手を用いた山留め工法を開発した。今回採用した継手は、一方の芯材に専用の接合部材を溶接した状態で搬入され、現場ではウェブのみボルト接合を行うことで使える。今後は、建築と土木両分野の作業所で新工法を導入していく見込みだ。
戸田建設は、山留め芯材H型鋼のフランジに突起のない継手を用いた山留め工法を開発したことを2021年12月3日に発表した。
削孔径が小さく掘削工事中もバケットとボルトが接触しない
通常、地下の掘削工事では、掘削中に周辺の地盤が崩れないように、山留め壁を設けて周辺地盤を支持する。山留めの方法には、H形鋼を地中に打ち込む「親杭横矢板工法」や「ソイルセメント壁工法」などがあり、掘削深さが深くなるとH形鋼の長さを伸ばす必要があるため、芯材に継手が必要になる。
継手に用いる添板には、多数のプレートやボルトを設けることが求められるため、施工に時間がかかるとともに、フランジに取り付ける添板とボルトの突起分を考慮し、山留め材を打ち込むための削孔径を大きくしなければならない。加えて、掘削中に重機がボルトに接触し、山留め芯材を損傷するなどの問題も生じている。
解決策として、戸田建設は、山留め芯材H型鋼のフランジに突起のない継手を採用した山留め工法を開発した。新工法は、山留め芯材H型鋼に専用の接合部材を使用することで、フランジの添板とボルトが不要となる他、工場で接合部材を溶接した状態で搬入するため、現場で添板取り付けの手間が省ける。
さらに、ボルト締めの本数が減り、施工の省力化が可能で、フランジ部分にボルトの突起がないため、削孔径を小さくすることができ、掘削工事中もバケットとボルトが接触せず安全に作業を行える。また、芯材を地中に埋設する際には、フランジ部分に突起がないため、芯材が挿入しやすく、垂直精度の確保が容易になる。
戸田建設は、フランジに突起のない継手を活用した山留め芯材H型鋼の性能を確かめるために静的加力実験を行い、接合部が十分な強度、剛性、耐力を備えていることをチェックした。
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