「ロックウール吹付け機車載トラック」を開発、清水建設:施工
清水建設は、アトムラ工業とともに、ロックウール吹付け作業がスムーズに行える「ロックウール吹付け機車載トラック」を開発した。今後は、ロックウール吹付け機車載トラックを移動式プラントとして使用し、作業効率の低い狭い現場や小規模作業現場のロックウール吹付け作業に投入し、需給逼迫が懸念されている耐火被覆工事の生産性向上につなげていく。
清水建設は、アトムラ工業とともに、耐火被覆工事の施工体制を強化する目的で、荷台に搭載した資機材を現場で積み下ろさずにロックウール吹付け作業が行える「ロックウール吹付け機車載トラック」を開発したことを2021年12月8日に発表した。
迅速に吹付け作業に移れるようなレイアウトを採用
近年、国内では首都圏を中心にS造を採用した大規模建築物の施工件数が増加し、鉄骨耐火被覆工事の需給逼迫(ひっぱく)が懸念されている。加えて、施工件数を円滑に減らすためには、経時的な需給動向を見据えた施工体制の確保とともに、生産効率の向上に向けた取り組みが必要だ。
なかでも、場内に常設プラントを設置できない小規模現場では、1日における吹付け量の多寡にかかわらずプラントの設置と撤収作業に一定の時間がかかり、実作業に充てる時間が少なくなってしまうという課題がある。
そこで、清水建設は、現場に到着後、迅速に実作業をスタート可能な移動式プラントとして、ロックウール吹付け機車載トラックを開発した。
ロックウール吹付け機車載トラックは、側面が上下に開閉するウイングボディーの荷台に、吹付け機、チューブポンプ、ブロアー(圧送機)、スラリータンクといった必要機材一式を搭載した特別仕様の2トントラック。
各機材は、迅速に作業に移れるようにレイアウトされており、現場に到着後、トラック側面のウイングとあおり板を上下に開き、給水や電源、ホースの接続を行うだけで準備が完了する。これにより、現場滞在時間のほとんどを吹付け作業に使え、生産効率の向上が見込める。
今後、清水建設では、首都圏における建築現場のうち、吹付け量の少ない現場や常設プラントの配置が困難な中小現場を中心に、車載型移動式プラントを機動的に投入し、耐火被覆工事の生産性向上と施工体制強化につなげていく。
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