鹿島・竹中・デンカの3社がカーボンネガティブコンクリートの技術開発をスタート:産業動向
2050年にカーボンニュートラルの実現を目指す動きが世界中で活発化していることを受けて、鹿島建設、竹中工務店、デンカの3社は、共同でカーボンネガティブコンクリートの開発に着手した。
鹿島建設は、竹中工務店とデンカとともに、カーボンネガティブコンクリート※1を実現する技術を共同研究すること2021年10月8日に発表した。
※1 カーボンネガティブコンクリート:製造時のCO2排出量よりも、CO2の吸収量が多いコンクリート
使用するほどCO2を減らせるコンクリートの生産も目標に
近年、さまざまな国では、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指す動きが活発化しており、国内でもCO2排出量の削減が急務となっている。建設分野でもCO2排出量のカットは、喫緊の課題で、なかでも建設材料として広く使用されるコンクリートは、製造過程で大量のCO2を排出するため、CO2排出量を軽減する取り組みが求められている。
今回の共同研究では、CO2排出量を大幅に減らすコンクリートをベースに、CO2を吸収するコンクリートやCO2を吸収したコンクリート素材を活用することで、高いレベルで汎用性のあるカーボンネガティブコンクリートを製造し、本格的な普及を目指す。
具体的には、CO2排出量を軽減するコンクリートとしては、竹中工務店と鹿島建設が開発した「ECM(エネルギーCO2ミニマム)」を利用し、CO2を吸収するコンクリートとしては、鹿島建設とデンカが開発したCO2吸収型コンクリート「CO2-SUICOM」を利用する。さらに、CO2を吸収したコンクリート素材には、竹中工務店が開発を進める「CCU材料」の技術を用いる。なお、CO2-SUICOMのキーマテリアルとしては、デンカが開発した炭酸化混和材「LEAF」を使用する。
上記の技術を複合化し、発展させることで、各テクノロジーだけでは達成できないレベルのカーボンネガティブを実現する見込みだ。加えて、脱炭素から「活炭素」にステージを移し、建設分野の基盤材料として欠かせないコンクリートの新しい形や使用するほどCO2を減らせるコンクリートの生産を目標に掲げる。
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