清水建設が開発した「水力発電所」が富山県北東部で開所、総開発費は約16億円:産業動向
清水建設は、日本小水力発電やNESとともに、富山県北東部の朝日小川ダム上流で開発した小水力発電施設「相あいノの又また谷だに水力発電所」の開所式を2021年5月1日に行った。相あいノの又また谷だに水力発電所の総開発費は約16億円。今後、清水建設では、他の再エネ電力と比べて少額の投資で事業化でき、開発時に周辺環境や生態系に及ぼす負荷が少ないという利点を踏まえて、引き続き事業化を推進していく。
清水建設は、再生可能エネルギー発電事業の一環として、日本小水力発電やNESとともに、富山県北東部の朝日小川ダム上流で開発した小水力発電施設「相あいノの又また谷だに水力発電所」の営業運転を2021年5月1日に開始した。
富山県内を含め5〜6県の計10数カ所で小水力発電開発に取り組む方針
清水建設は2016年12月、小水力発電事業への参入を目指し、事業実績が豊富な日本小水力発電やNESと共同で事業化検討に着手。そして、全国に多数ある候補地の中から水資源が豊富な富山県に着目し、年間を通して安定した水量の確保が期待できる朝日町での発電所開発を決定した。2017年12月には、3社の共同出資による事業会社である水の国電力を設立。その後、水の国電力を介して、小水力発電所建設に向けた開発申請業務などの準備を進め、2019年8月に相ノ又谷水力発電所の開発工事をスタートした。
相ノ又谷水力発電所は、富山県北東部にある朝日小川ダム上流の谷あいに位置する流れ込み式の小水力発電施設。今回の水力発電所では、川沿いの林道に全長約1.6キロで、管径800ミリの水圧管路を埋設して、この水路に川の水を流し込み、水車を回転させることで発電を行う。最大使用流量は1秒当たり1立方メートルで、有効落差は114メートル。最大出力は961キロワットで、年間の想定発電量は624万キロワットアワー。発電した電力は今後20年間にわたりFITによる固定価格で売電し、年間売電収入は約1億8000万円を見込んでいる。
今後、清水建設では、富山県内を含め5〜6県の計10数カ所で小水力発電開発に取り組み、2030年までに総発電能力1万キロワットおよび総売上20億円の事業体制構築を目指す。また、地方自治体との共同開発スキームや地域エネルギー資源の活用に伴う地域貢献スキームの開発も同時に進めていく。
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