建設業の“海外人材”活用は他産業よりも大幅増だが技能工は伸び悩む、建設HR独自分析:産業動向(2/2 ページ)
建設HRは、人手不足に陥っている国内の建設業界で海外人材の動向をさまざまな調査統計をもとに分析した。調査レポートでは、他の産業と比較しても大幅に増加している一方、特定技能で建設技能工として来日する海外人材は伸び悩んでいる実態が判明した。
■建設業の専門的・技術的分野で働く海外人材は、5年連続で前年比30%以上増加
建設業で働く、技能実習と専門的・技術的分野の在留資格を有する海外人材は、技能実習(図表4)、専門的・技術的分野(図表5)ともに増加傾向が続いている。特に、専門的・技術的分野は5年連続で前年比30%以上の増加となった。
建設業では技能実習生だけではなく、専門的・技術的分野で働く海外人材も大幅に増加してきていることが分かる。
■建設技能工として働く海外人材は2020年6月末から大幅増加
深刻な労働力不足に対応するため、2019年4月に出入国管理法が改正され、在留資格に特定技能が創設されました。特定技能は、農業や建設、介護など単純労働と見なされるために、海外人材の従事が認められていなかった14分野で、5年間就業できる在留資格。建設業では、型枠施工、左官、とび、建築大工など、人材が特に不足している建設技能工が該当する。
特定技能の海外人材数※1の推移をみると、14分野計が2020年6月末の5950人から2021年6月末には2万9144人と、約5倍に増加している(図表6)。一方、型枠施工、左官、とび、建築大工などの建設分野では、同374人から同2781人と約7倍に増加しており、全体平均以上に増加している。ただし、政府は当初5年間で最大で約34万5000人の受け入れを目標としており、充足率(受け入れ数÷受け入れ目標数)は約8%にとどまっている。建設分野の受け入れ目標数は4万人とされており、充足率は約7%にとどまっているなど、普及は期待されたほどには進んでいない。
※1 特定技能には1号と2号があるが、現時点では2号はいないため、ここでは特定技能1号の人数を対象
※2 「特定技能1号」:建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電子・電気機器関連産業の14の業種での「相当程度の知識または経験を必要とする技能と認められる業務に従事する海外人材向けの在留資格
※2 「特定技能2号」:建設業、造船・舶用工業の2つの業種で、熟練した技能を要する業務に従事する海外人材向けの在留資格で、家族滞在や在留期間更新が可能
■まとめ
建設業で働く、技術的・専門的分野の在留資格を有する海外人材は5年連続で年率30%以上増加し、2020年には1万868人となった。建設技術者の人手不足が続く中、建設業各社が海外人材の建設技術者確保に積極的に動いていることが推察される。
また、同じく厳しい人手不足が続く建設技能工については、2019年4月に新たに創設された特定技能の在留資格での海外人材数が伸び悩んでおり(2021年6月末で2781人)、今後は、人手不足の解消のためにも、この特定技能の海外人材をさらに積極的に受入れて活用することが必要であると考えられる。
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