建設業の年間平均就業時間は3年連続で減少、労働時間の実態を分析:産業動向(1/2 ページ)
建設HRは、国内における建設業の人材市場動向をまとめた2021年9月分のマンスリーレポートを公表した。今月のトピックスでは、総務省「労働力調査」の最新データから、建設業での労働時間の実態を分析している。
ヒューマンリソシアが運営する建設人材向けWebサイト「建設HR(旧ヒューマンタッチ総研)」は、国内における建設業の人材市場動向について、マンスリーレポート「建設HR〜Monthly Report 2021年9月」をまとめた。
今月のトピックスでは、総務省の労働力調査の最新データから、建設業における労働時間の実態を分析した。調査は世帯を対象とし、就業者自信が回答するため、事業所への調査では表れにくい「サービス残業」なども反映されているとしている。
■建設業の年間平均就業時間は3年連続で減少
総務省の労働力調査によると、建設業の年間平均就業時間は、2017年の2130時間から3 年連続で減少し、2020年には2032.2時間となった(図表1)。製造業、情報通信業、全産業平均、いずれについても3年連続で減少しており、働き方改革による長時間労働の是正が進んでいることに加えて、2020年はコロナ禍で企業活動が停滞した影響、労働時間は全体的に短縮されたと推察される。
■建設業での労働時間の短縮は、製造業や情報通信業と比べて進んでいない
2020年の年間平均就業時間について、2017年比の増減をみると、建設業は98時間の減少ですが、製造業は139時間の減少、情報通信業は140時間の減少、全産業平均で116時間の減少。つまり、建設業では、労働時間の短縮が製造業や情報通信業と比べると進んでいないことが分かる(図表2)。その結果として、建設業と製造業の年間平均就業時間の差は2017年の66時間から2020年には107時間に拡大した(図表1参照)。
2024年4月には、時間外労働の罰則付き上限規制が建設業でも適用される。今後に向けて、ICTを活用した業務の効率化やテレワークの活用などでさらなる労働時間の削減を進めることができるかが、建設業にとっての大きな課題になると考えられる。
建設業就業者数は469万人で減少、新規求人数は7万2636人で増加
建設業界の人材動向では、2021年7月の建設業就業者数は469万人(前年同月比98.7%)、雇用者数は378万人(同98.2%)でともに3カ月連続で減少した。
一方、公共職業安定所(ハローワーク)における新規求人数は7万2636人(同105.1%)と8カ月連続の増加となった。
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