東京タワー近くに東急がIOQシリーズ第1弾のイノベーションオフィスを10月開業:リノベ
東急は、コロナ禍でオフィス需要が変化したことを踏まえ、東京都港区東麻布の高級家具付きマンションをリノベーションして、自由度の高いワークスペースをメインとした合計77区画から成る複合ビルを開業する。
東急は2021年10月、東京タワーにほど近い港区東麻布にイノベーションオフィス「GROWTH BY IOQ(グロース バイ アイオーキュー)をオープンする。開業に先立ち、2021年10月20日からは順次、事前予約制の内覧会を開催する。
サービスアパートメントからイノベーションオフィスへリノベ
オフィス名の「IOQ」は、「I(Innovation)」「O(Office)」「Q(Question)」の頭文字をとった名称。ワークスタイルやライフスタイルの変容により顕在化したコミュニケーションの希薄化や労働生産性の低下といった課題(Q)に対して、オフィス(O)の役割を再定義し、イノベーション(I)を創出する新たな時代の働き方に適応したイノベーションオフィスと位置付けている。
2003年1月に竣工したビル自体はもともと、2021年5月に東急が取得する以前はサービスアパートメントとして運営されていた。東急は、コロナ禍による住宅需要の変化や変容するオフィスの在り方などを鑑み、解体や建て替えはせず、既存の建物を生かしてオフィスビルへとリノベーションを行う計画とした。
また、都心部を中心に、60棟を超えるクリエイティブオフィスの企画・運営を手掛けるリアルゲイトと設計監修と運営管理で協業。「PLAY TO WORK,WORK TO PLAY」をコンセプトに、気分や作業内容に合わせて働く環境を自由に選択できる40〜50平方メートル台を中心とした全77区画の複合ビルとしてバリューアップを図り、スタートアップやベンチャー企業が集積するエリアの特性に沿ったオフィスニーズに応えていく。部屋の構成は、スモールオフィス19区画、SOHO46戸、家具付き住宅12戸の計77区画。
今後も、東急はリアルゲイトと今後も連携し、今回のプロジェクトを皮切りに、IOQシリーズを東急線沿線内外で複数開発する予定だという。
東急は、2021年度を始期とする中期3カ年経営計画で、「不動産事業における新しい価値観への対応」を掲げている。具体施策の1つで、「資産回転型ビル事業の強化」に取り組んでおり、既存物件を活用することでSDGsや環境問題といった社会課題の解決に貢献するとともに、連結利益への早期貢献(短期化)を目指したオフィスビルリノベーション事業を進めている。
GROWTH BY IOQの物件概要は、所在地が都営大江戸線「赤羽橋」駅から徒歩4分の東京都港区東麻布1-9-11。敷地面積は727.81平方メートル。構造・規模はSRC造、地下1階・地上14階建て、延べ床面積は6190.14平方メートル。事業主は東急とSMFLみらいパートナーズ、運営管理はリアルゲイト。
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