東京・豊島区の「鹿島児童館」を新研修施設「KX-LAB」にコンバージョン:リノベ
鹿島建設は、近隣社宅在住者の子女に約60年間幼児教育を行ってきた東京都豊島区の「鹿島児童館」を次世代リーダー育成の場としてコンバージョンし、新研修施設「KX-LAB」に生まれ変わらせた。KX-LABは、鹿島グループの成長・変革(トランスフォーメーション)に向けた新たな人材開発の拠点となる見込み。
鹿島建設は2021年4月20日、社内の次世代リーダー育成を目的とした新研修施設「KX-LAB(ケーエックス ラボ)」を東京都豊島区にオープンしたことを明らかにした。KX-LABでは『「気付き」「学び」「実践」を通じた主体的な成長の場』をコンセプトに、経営陣との対談やワークショップなどさまざまなイベントを開催していく。
KX-LABは「気付き」「学び」「実践」を通じた主体的な成長の場
KX-LABは、近隣の社宅在住者の子女を対象に、幼児教育を行ってきた1992年竣工の「鹿島児童館」を2020年3〜11月にかけてコンバージョンした施設。所在地は、東京都豊島区南長崎6-3-2で、建物の構造・規模はRC造2階建て、延べ床面積は1289平方メートル。
鹿島建設は、不確実かつ変化の激しい経営環境の中でも成長を持続し、競争力を強化していくために、社員が生涯にわたって自律的に成長し、社員と会社が互いに高め合う組織へ変革していくことが必要と考え、諸施策を推進している。
その一環で2020年には、社員の自律的なキャリア開発を支援すべく、タレントマネジメントシステムを導入。社員それぞれがシステムに入力した経験、意欲、適性、能力などのデータを活用し、人材をタイムリーかつ適材適所に配置する環境を整えた。また、社員が意欲やニーズに応じてスキル向上を図れるように、研修体系の見直しにも着手している。
こうした人材開発施策の拡充に加え、社員同士が部門を超えて相互に刺激し合う場として、2020年11月にKX-LABを開設。新型コロナウイルス感染拡大防止を考慮して、数カ月間運営を見合わせていたが、今春から本格運営を開始している。
KX-LABでは、次世代リーダー育成をメインテーマとし、社員の自律的な成長を促す仕組みとして、(1)自身の伸ばしたい点に「気付き」、(2)主体的に「学び」、(3)日々の業務で「実践」するというサイクルを回していく。具体的には、サイクルに沿ってコンテンツを運営し、経営陣・有識者との対談などを通じてリーダーとして必要な気付きを得る機会、主体的・自律的なキャリア形成をサポートするためのワークショップやセミナー、社内外で共創を創発するアイデアソンや社内コンペなどの実践型のイベントを企画していく。
KX-LABの内部は、ミーティングルーム2室(最大20人/50人収容)、カンファレンスホール(最大70人収容)、ラウンジ、カフェテリア、アウトドアワークスペースなどを設けている。
施設の特長としては、オフィスや自宅とは異なる非日常的でリラックスできるサードプレースの空間を意識した他、ディスカッションやワークショップなどに対応できるフレキシブルに動かしやすい家具を選定して、少人数で使えるコワーキングスペースを随所に設置。さらに、コンシェルジュの常駐をはじめ、カフェテリアでのコーヒー・軽食の無償提供、鹿島グループのホテルイースト21東京による昼食や懇親会など、これまで他の社内施設には無かった上質なサービスを用意している。
鹿島建設では昨今、オンラインでの研修やミーティングが一般化しつつある一方で、リアルなコミュニケーションの重要性も見直されているとして、KX-LABを積極的に活用することで、部門を超えた交流・連携を促進し、社員同士が相互に刺激し合い、鹿島グループの成長・変革へとつなげていくとしている。
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