「建設業は他産業よりも65歳以上の割合が高く高齢化は進む」建設HRレポート:建設業の人材動向レポート(37)(2/2 ページ)
本連載では、建設HR 編集部(旧ヒューマンタッチ総研)が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、総務省統計局の「労働力調査」を基礎資料に、建設業界の高齢化について考察している。
日本の建設業の高齢化は他国以上に進んでいる
世界の主要国について、建設業就業者における65歳以上が占める割合と全就業者における65歳以上が占める割合をみると、建設業就業者での65歳以上が占める割合は、日本が17.1%であるのに対して、韓国は6.3%、米国は5.6%、カナダは4.5%となっており、日本は世界でも際立って建設業就業者の高齢化が進んでいる。
また、韓国は全就業者で65歳以上が占める割合は11.2%だが、建設業では6.3%となっており、建設業の就業者は他産業ほど高齢化が進んでいないが、日本の建設業は反対に他産業以上に高齢化が進んでいる。
考察
高齢者の総人口に占める割合は、日本が29.1%(2021年時点)で世界最高であることを考えると、我が国において65歳以上の就業者数が増えるのは当然ではあるが、そのなかでも、建設業では他産業以上に65歳以上が占める割合が高くなっている。また、韓国や米国と比較しても建設業の高齢化は際立って進んでいることがデータから分かった。
今後は、65歳以上の就業者84万人(2020年時点)が順次に退職していくことを想定すると、特に若年者を中心とした労働者の確保が大きな課題になる。加えて、日本社会においては高齢化がさらに進むという実態を踏まえると、65歳以上の高齢者層をいかに活用するのかも大きな課題になると思われる。
著者Profile
建設HR
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