BIMを用いたドローン用屋内外自律飛行システム、竹中工務店らが実験で有効性を確認:BIM
竹中工務店は、カナモトとアクティオとともに、センシンロボティクス製プラットフォーム「SENSYN CORE」とBIMを活用し、ドローンの「屋内外自律飛行システム」を構築して、実証実験で有効性を確認した。今後は、屋内外自律飛行システムの試験運用を重ね、BIMの活用範囲を拡大し、利便性向上を図れる機能の開発を進める。加えて、開発中の建設ロボットプラットフォームを使い、ドローンとロボットの連携も推進する。
竹中工務店は、カナモトとアクティオとともに、岡谷鋼機から提供されたセンシンロボティクス製プラットフォーム「SENSYN CORE」とBIMを活用し、ドローンの「屋内外自律飛行システム」を構築して、システムの有効性を検証する実証実験を建設現場で行ったことを2021年7月27日に発表した。
竣工した建物の屋内外でドローンを用いた巡回監視を可能に
通常、屋外でドローンを飛行させる際にはGPS信号を受信させて機体をコントロールする。一方、非GPS環境である屋内で安全にドローンを自律飛行させる時は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)と呼称される「地図生成技術」と「自己位置推定」のテクノロジーが必要となる。
一般的な解決策としては、ドローンに取り付けたカメラを用いて、ドローンにARマーカーなどの目印を認識させ、飛行用の地図を生成させて、自己位置を推定させつつフライトさせる。しかし、建設現場では、環境が変化するため、目印のタイムリーな設置や飛行用地図の作成が難しく、ドローンの屋内自律飛行が困難だった。
そこで、竹中工務店は、カナモトとアクティオと共同で、センシンロボティクス製プラットフォーム「SENSYN CORE」とBIMを活用し屋内外自律飛行システムを構築した。
今回の実証試験では、新システムを活用し、「BIMによる離陸、経路、着陸地点のフライトルート設定」「手動操作による事前の地図生成を行わずBIMのみで飛行経路および閲覧対象の設定」を実施して、ドローンの屋内外自律飛行を建設現場で行った。
実験の結果によれば、屋内外自律飛行システムは、使用することで、施工管理担当者が担当する安全巡回と現地確認を事務所内の自席や遠隔地からも行えるようになり、作業所への移動時間と現地滞在時間を減らせることが判明した。また、自律飛行により現場の写真を自動撮影できる他、屋内外でシームレスなドローンの飛行を実現し、竣工した建物に対する巡回監視で役立つことが分かった。
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