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慶応大「キムリア」治療プロセス実施環境に、ダイダンの半開放型気流制御クリーンブースを導入導入事例

慶應義塾大学病院のヒト体細胞加工製品「キムリア」治療プロセス実施環境に、ダイダンが開発した半開放型気流制御クリーンブース「エアバリアブース」が採用された。

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 ダイダンは2021年8月18日、慶應義塾大学 医学部 輸血・細胞療法センターと共同で、ヒト体細胞加工製品「キムリア点滴静注(一般名:チサゲンレクルユーセル)」の治療プロセスに含まれる“院内での開放系操作”を行うため、半開放式のクリーンブース「エアバリアブース」の導入支援をしたと明らかにした。

汚染防止のためのモニタリングや動線管理の負担を軽減


慶應義塾大学病院内の一般作業室に設置した「エアバリアブース」 出典:ダイダン

 キムリア点滴静注は、ノバルティス ファーマが製造販売するキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法に用いるヒト体細胞加工製品で、白血病やリンパ腫の新たな治療薬として注目されているという。キムリアの原材料は、院内で対象患者から採取した白血球アフェレーシスの産物で、院内で凍結処理した後、ノバルティスの指定する製造施設へ発送する。そこで加工処理されたものが、製品として再び病院へ届けられ、最終的に対象患者へ投与される。

 プロセスのうち、院内でアフェレーシス産物を凍結処理する前段階では、バイオハザード対策用キャビネット内で細胞・組織が入った容器を開放しながら作業を行う。ここでの作業内容は、凍結保護液を用いたアフェレーシス産物の調製のため、培養を伴わない操作となる。

 開放して作業する安全キャビネットを設置する区域では、アフェレーシス産物の汚染を防ぐため、清浄度・微生物の制御、モニタリング及び作業者の動線管理を行う必要がある。一般的には小部屋で区切られたクリーン環境であるCPF(Cell Processing Facility)内に安全キャビネットを設置していたが、その運用の煩雑さや管理コストは医療機関にとって負担が大きかった。さらにCPFを保有しない施設も多いため、省スペースで管理された環境を構築できる手法も求められていた。

 そこで安全キャビネットを設置する環境として、慶應義塾大学病院内の一般作業室にダイダンの開発製品「エアバリアブース」が導入され、ダイダンはブース内部の環境モニタリング及び運用方法の策定についても支援した。その結果、エアバリアブースは、適切な手順を順守することで管理された環境として運用できることを示した。

 今後は、CPFを保有しない医療施設でも、より多くの患者への再生医療の提供と医療従事者の方々への負担軽減に、エアバリアブースの導入とその適切な運用管理を通じて貢

献していくとしている。

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