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4階建て中規模オフィスビルで設計段階では日本初、『ZEB』認証を取得できた要因とは?三菱地所設計のZEBへの挑戦(1/3 ページ)

近年、環境に配慮する企業の増大に伴い、ZEB(net Zero Energy Building)認証を取得するオフィスビルが増えている。国内のZEB認証取得済みのオフィスビルは、郊外に建築物を建て広い敷地を最大限に利用し、多くの太陽パネルを設置したり、エネルギー使用量を多大に要する設備を配置しないというものが多いのが現状だという。これに対し、三菱電機の「ZEB関連技術実証棟」は、食堂なども設けた4階建て中規模オフィスながら、建物単体で『ZEB』を実現すべく設計されている。

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 三菱電機が建設中の「ZEB(net Zero Energy Building)関連技術実証棟」が業界から関心を集めている。

 鉄骨造地上4階建て、延べ床面積6000平方メートル以上の中規模オフィスビル単体で、設計段階に、第三者認証機関からBELSの最高評価である5スターに加え、ZEBのトップクラスを示す『ZEB』を取得しているためだ。


「ZEB関連技術実証棟」  提供:三菱地所設計

 この建物が、太陽光発電による創エネ込みで、1次エネルギー消費量指標(BEI)マイナス0.03という高水準の値を記録していることも注目される要因だ。稼働開始は2020年9月を予定しており、順調に工事が進んでいるという。

 ZEB関連技術実証棟は、建築主は三菱電機で、三菱地所設計が設計を担当した。三菱地所設計のメンバーに、設計期間やプロセス、建築の取り組み、今後の展望について聞いた。

4階建てZEBの創エネの難しさ


建築設計三部 チーフアーキテクトの阿折忠受氏

 三菱地所設計 建築設計三部 チーフアーキテクトの阿折忠受氏は、設計期間とプロセスについて説明した。

 「設計については、2017年後半に三菱電機から依頼があり、そこから基本構想に着手した。具体的には、三菱電機の製品・技術を結集して、建物単体で年間の1次エネルギー消費量が正味ゼロの“ZEB”の建物を建てるという施主(三菱電機)からの要望に対し、三菱地所設計では、それを形にして、実際に図面を起こしていく役割を担った。2017年10月から2018年2月まで基本構想を行い、2018年3月から2019年2月まで基本計画、基本設計、実施設計と行い、2019年6月に着工している」(阿折氏)。

 設計で苦慮した点について、「三菱電機は、都市部で普及できる実用的なZEB技術の実現のために、4階建てのZEBという高い目標を打ち立て、技術開発を促進されてきた。4階建ての建物は、フロアを積層するので、屋根面積が縮小し、太陽光パネルを設置可能なスペースが限られる。こういった問題は、高効率な太陽光パネルを屋上や庇(ひさし)に配置することに加え、必要エネルギーを削減するため、各室の条件、使用方法を一つ一つ見直しを行い解消した」と明かした。

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