20時間飛び続ける大型機で広域災害を支援、福島に未来と希望をもたらすテラ・ラボのドローン事業:Japan Drone2021(2/2 ページ)
福島県南相馬市を中心に、災害支援の研究開発を進めるテラ・ラボ。「Japan Drone2021」の出展ブースでは、災害時の情報収集用大型ドローン3機(うち2機はモックアップ)と、後方支援する移動管制システムなどを披露した。展示パネルでは、2021年秋に竣工予定の「TERRA LABO Fukushima」の基本仕様を公開。復興支援として地域企業とともに産業集積を目指し、住民が未来と希望を持てる社会とまちづくりを進めている。
被災地調査を支える専用車両「TERRA Mobile」
実機横に展示されていたのは、現地で運航管理を担う車両「TERRA Mobile」。テレビ中継車をベースに改良された車両には、管制、映像伝送、3次元解析、発電のシステムが搭載されている。
管制システムでは、ドローンの自律飛行制御などをコントロールし、映像伝送システムでは機体から伝送される映像を社内モニターでリアルタイムに確認。3次元解析システムを使うことで、機体が取得したデータを車両内で解析できる。発電システムでは10時間以上の発電が可能で、長時間の情報収集に必要な電源を確保できるだけでなく、外部給電にも対応している。
TERRA Mobileには衛星通信を3回線、4G LTEは8回線(最大)を備え、今後は高速大容量通信を可能にする5Gモジュールも搭載する。
新施設竣工で、福島から未来と希望を発信
テラ・ラボが2021年10月、福島県南相馬市復興工業団地内に竣工予定の新施設「TERRA LABO Fukushima」については、パネル展示で紹介。
TERRA LABO Fukushimaは、機体の運航管理や機体から送信されるデータを解析する「管制室」の他、管制室の分析データをもとに外部とのリモート会議や災害対策本部との連携に使用する「危機管理対策室」、長距離無人航空機を製造または整備を行い、福島ロボットテストフィールドの滑走路と直結する「製造・格納庫」から成る。
TERRA LABO Fukushimaのコンセプトは、「Umi to Sora〜海(復興)と宙(宇宙・航空)復興に向き合う、未来と希望〜」。東日本大震災から10年、復興支援として地域企業とともに産業集積を図り、雇用創出や地域企業の発展をもたらすことで、地域住民が未来と希望を抱ける社会と街づくりの場を目指すという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ドローン:衛星写真・ドローン・区画技術・AIで空き家発見を効率化、都内で実証実験を開始
空き家のデータベースサービスを運営する空き家活用と衛星とドローンで取得した写真やAI、区画技術を用いたサービスを展開するサグリは、空き家の発見を効率化するアプリケーションの開発を進めている。 - Japan Drone2021:最大飛行時間140分のハイブリッドドローンを開発、エアロジーラボ
エアロジーラボは、最大飛行時間がペイロード無しで140分を誇るドローン「Aero Range Quad」を2021年12月中に発売する。現在、同社は、岡山県の製造会社KOBASHI ROBOTICSと共同で、Aero Range Quadの量産体制構築を進めている。 - Japan Drone2021:ヤマハが考えるドローンのいま、次世代、そして進化形、ガソリンとEVのハイブリッドを提案
「Japan Drone2021」でヤマハは2機のドローンと、1台のエンジン(モックアップ)を展示した。農業用マルチローターでは農薬用途での自動空中散布の実績を紹介し、産業用無人ヘリコプターとしては資材運搬や森林調査などでの可能性を示した。また、ガソリンと電池をハイブリッドした電源供給ユニットのコンセプトを打ち出し、ヤマハが考えるドローンの進化形を明らかにした。 - Japan Drone2021:風の影響を軽減し森林や山岳でも資材を運べるドローン、DroneWorkSystem
ドローンメーカーのDroneWorkSystemは、吊り下げた資材の揺れや風向、風力などに合わせ、機体の姿勢を変えることで、風による影響を軽減するドローン「EAGLE-24」を開発した。 - Japan Drone2021:注目の機体「Airpeak S1」、ソニーが新規参入するドローン開発の未来
「Japan Drone2021」のソニーブースでは、2021年6月10日に発表されたばかりの業務用ドローン「Airpeak S1」、送信機、モバイルアプリ「Airpeak Flight」、Webアプリ「Airpeak Base」を出品し、多くの観客を集めた。プロペラやモーターなど、独自に設計した部品を含めた機体開発といったハード面から、アプリ開発などの使い方にかかわるソフト面まで、トータルなドローン開発を進めるソニーのビジョンが伝わるブース構成となった。 - Japan Drone2021:レーザー・AI・ソナーなど高精度の測量ツールを搭載可能な水中ドローン
中国のドローンメーカーQYSEAは、高精度の測量ツールを取り付けられる全方向性4K中型水中ドローン「FIFISH PRO W6」を開発した。