“深紫外線(DUV)”の2時間照射で、99%殺菌するLED照明を大成建設が開発:COVID-19
大成建設は、ウイルスを殺菌する深紫外線を利用した空間殺菌灯と、室内に人がいないことを確認して深紫外線を照射する安全制御システムを開発した。今後は、学校や病院、BCP対策に取り組む企業のオフィスに向けて積極的に提案していく。
大成建設は2021年4月27日、遠藤照明と共同で、ウイルスなどに強い殺菌力を有する深紫外線(DUV)を照射する空間殺菌灯「T-LED DUV Light」を開発したことを明らかにした。また、同時に東光高岳とともに、施設利用者の安全性を確保するため、室内における人の在・不在を確認した上で、不在の場合にDUV照射を行う安全制御システムも併せて実用化した。
2〜3時間のDUV照射で、99%を殺菌
現在、新型コロナウイルスの世界的な流行を背景に、主な感染経路とされている接触、飛沫、空気(エアロゾル)感染防止技術の確立と普及は急務となっている。これまでは、蛍光灯ランプの殺菌灯が使用され、ウイルス感染の防止が図られてきたが、使用する蛍光灯ランプの寿命が短く、使用するランプによっては器具が大きくなってしまう課題が存在し、殺菌灯普及の妨げとなっていた
そこで、大成建設は共同開発社の協力を得て、接触による感染リスクが懸念されるトイレや洗面台、執務室の机、PCキーボードなどの表面に付着したウイルスを殺菌できる「DUV LED」を光源に採用した空間殺菌灯のT-LED DUV Lightと、施設利用者への安全制御を確実に行うシステムを開発。T-LED DUV Lightは、従来の蛍光灯ランプに比べ、光源寿命が長く、使用する器具自体もコンパクトになった。
DUVの有効性は、一般的な天井高さ(2.5〜3.0メートル程度)の施設で、机上面へ2〜3時間のDUV照射により、一般的な細菌やウイルスを99%程度殺菌することができるという(殺菌時間は、細菌やウイルスの種類で異なる)。
また、強い殺菌力を持つ280mnのDUV照射は、人体にも影響を与える懸念があるため、人がいない状態で行わなければならない。そのため、大成建設の人検知センサー「T-Zone Saver」などを設置し、室内での人の在・不在を検知し、扉の開閉、使用中を表示する手元スイッチの点灯なども含め、統合的に室内の状況を判断して、不在の場合のみに、DUVを照射する制御システムを併せて運用することで、施設利用者の安全を確保することが実現する。
T-LED DUV Lightの設置にあたっては、軽量で天井面へはめ込み式で簡単に設置できるダウンライト型を採用しているため、新築のみならず、既存施設での適用にも対応している。
大成建設では、感染リスクが高い不特定多数の人が利用する学校、病院といった公共施設をはじめ、BCPを強化する企業などに対し、接触感染防止のための新しい設備として、積極的に提案していくとしている。
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