三井住友建設が建設現場の“言葉の壁”を解消する「音声通話の自動翻訳アプリ」開発:現場管理
三井住友建設は、世界各地の建設現場で、言語の壁を越え、建設作業員に欠かせないコミュニケーションツールとして、マストアイテムとなることを目指し、音声通話の翻訳アプリを開発した。初弾では、日本語と英語の音声翻訳を実装し、グループ設定したメンバーに向けた一斉同報やグループチャット形式での録音データ及び翻訳データの表示機能も備えている。
三井住友建設は2021年3月末、NECとの協業で、異なる言語を話す建設現場の作業所といった環境で、作業員同士の言葉の壁を無くす音声通話の翻訳アプリ「どこみなフォン/DokoMinaPhone」を開発したことを発表した。
NICTの翻訳エンジンで、話し言葉に近い自然な翻訳を実現
どこみなフォンは、スマートフォンにインストールされた専用アプリを使用することで、 目的別に設定したグループに参加して、異なる言語の複数のグループメンバーに対して、自動翻訳された音声通話でのコミュニケーションを可能にする。三井住友建設では、「グローバル化宣言」の一環で、英語研修などに取り組んできたが、今後はアジア圏を含む異言語での多様なコミュニケーションシーンも想定されるため、第1弾として日本語と英語間の音声翻訳と一斉同報に対応したどこみなフォンを開発したという。
どこみなフォンの積極展開により、急速に進むグローバル化の中で、世界の建設現場で言葉の障壁を取り払い、多様な国の人材が活躍でき、安心・安全に働くことができるダイバーシティーの実現を目指す。
操作方法は、スマートフォンとBluetooth接続したヘッドセットや手持ちのイヤフォンマイクで通話ができる他に、建設現場を想定して、PTT(プッシュ・トゥー・トーク)ボタン機能付きヘッドセットであれば、スマホを手に持つことなく通話することも可能になる。
翻訳エンジンは、情報通信研究機構(NICT)のニューラル翻訳エンジンを搭載し、日本語から外国語、または外国語から日本語へを人間の話し言葉に近い自然な形で訳する。
グループメンバーの設定は、専用アプリを起動してQRコードを読み取り、認証することで、あらかじめ設定したグループへ参加し、音声通話が開始される。発話された内容は、録音されて聞き直すことができ、グループチャット形式で発話者の発言ごとに、原文/翻訳文/逆翻訳文が表示される。例えば、日本語で発言すると、日本語及び英語の録音データの下に、日本語の原文、英語での翻訳文、さらに正しく翻訳されているかどうかを確認するため、英語を日本語に訳した逆翻訳文の順で自動入力される。
今後は、国内外の自社プロジェクトに参画する関係者向けにアプリを配布することで、利用促進を図る。また、次のアップデートでは、言語数の拡充に加え、作業時の安全性に配慮したハンズフリーの操作性、建設作業特有の専門用語や言い回しへの対応、さらに翻訳音声のため耳だけで発話者の識別が可能になる機能を追加していく。
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