オフィス就業者の働き方に寄り添う日立のスマホアプリ、基盤の「spaceOS」創業者らが可能性を語る:Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE(1/4 ページ)
日立製作所は、オフィスで働く人がビル内の会議室やレストランの施設予約や各種情報の入手、就業者間のコミュニティー活動、非接触での入退室などをスマホアプリで一元的に行えるサービスプラットフォームを開発した。既に日立グループ内でのPoC(Proof of Concept:概念実証)を開始しており、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」のビル分野での新ソリューションとして提供開始に向けた準備を進めている。
日立グループ最大規模のオンラインイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE」(会期:2020年11月4〜6日)の会期中、日立製作所でビルシステム事業を担うビルシステムビジネスユニット部門は、クローズドセミナー「オフィスワーカーの新たな就業・生活体験を提供するサービスプラットフォーム」を限定配信した。
セミナーでは、日立製作所 ビルシステムビジネスユニット SIB推進部 主任技師 大塚憲治氏をはじめ、日立リアルエステートパートナーズ オフィスソリューションセンタ 担当部長 笈田邦彦氏、ワークスペースに特化したスマートフォン用の基盤システムを開発したアイルランドのベンチャー企業spaceOS(スペースオーエス)創設者(Co-founder) Maciej Markowski(マチェイ・マルコフスキー)氏の3者が順に登場。日立が2020年夏に発表したニューノーマル(新常態)時代のオフィスでの働き方をサポートする新サービス「就業者向けサービスプラットフォーム」について、ベンダー、PoC担当社、デベロッパーのそれぞれの立場から解説した。
就業者向けサービスプラットフォームは、オフィスワーカー各個人が操作するスマホアプリと、就業者の属性情報を統合的に管理するspaceOSのオフィス用プラットフォームで構成。専用スマホアプリは、既存の就業者向け情報提供サービスなどと異なり、プラットフォームに集積される性別や年齢といった属性情報を活用するため、個人それぞれに合わせた柔軟性のあるサービスを提供するのが他には無い特長となっている。サービスの一例としては、新型コロナウイルス関連情報のタイムリーな情報取得をはじめ、タッチレスでのエレベーター操作、非接触での入退室など、with/afterコロナに順応した働き方や生活環境を実現し、就業者のQoL(Quality of Life)向上にも貢献する。
日立の目指す働き方は、“事業またぎのフリーアドレス化”
セミナーでは、日立製作所 ビルシステムビジネスユニット SIB推進部長 赤津昌幸氏が司会進行を務め、最初に日立製作所とともに就業者向けサービスプラットフォームの概念実証を行った日立リアルエステートパートナーズの笈田邦彦氏が登壇。
日立リアルエステートパートナーズは、日立グループのCRE戦略推進会社として、不動産施策の企画・実行を受け持ち、その中で笈田氏は、働き方改革のワークプレース構築に関わるコンサルティング業務に携わっている。同社がワークプレース構築で描く働き方改革のワークプレースとして目指す姿は、現状では1拠点に1組織が固定席で働くことが一般的となっているが、将来は国内のどのオフィスでも働ける“事業またぎのフリーアドレス化”を目標としている。
実例として笈田氏が取り上げた日立リアルエステートパートナーズの本社移転計画では、コロナ禍で強制的に働き方を変革せざるを得ない現状を鑑(かんが)み、現在を起点として未来を見据え、「現状の課題」を浮き彫りにする“フォアキャスト”と、afterコロナやワーカーの価値観変化といった未来を想定して、未来から現在で「将来の姿」を考える“バックキャスト”という「現在→未来」と「未来→現在」の両面からオフィスの在り方を検討した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.