「テレワーク百選」に選ばれた向洋電機土木の建設業に効く、テレワーク活用法:設備業ITフェア ONLINE 2021(2/2 ページ)
向洋電機土木は、2008年にテレワークを導入して以来、2018年度には従業員の平均労働時間を2008年度比で300時間減の1800時間とすることに成功した。また、テレワーク環境を整備したことを評価され、2018年度の採用に関しては、新卒の応募者数は2008年度比で299人増の300人となり、中途の応募者数は同比596人増の600人に及んだ。
テレワークの導入で新卒の応募者数が1人から300人に
セミナー後半で横澤氏は、向洋電機土木でのテレワーク導入でもたらされた成果について触れた。向洋電機土木が社員のワークスタイルにテレワークを取り入れたのは2008年で、顕著に効果が表れたのは2011年以降だという。
「テレワーク単体の影響ではないが、2011年度は、平均労働時間が2008年度比で、200時間減の1900時間となり、本社の電力使用量は同比5000キロワットアワー(kwh)減の2万7000kwhを達成し、ガソリン利用量は同比6000リットル減の2万8000リットルとなった。2018年度は、社員が19人増えたにもかかわらず、平均労働時間が同比で300時間減の1800時間となり、本社電力使用量は同比7034kwh減の2万4966kwhで、ガソリン利用量は同比6715リットル減の2万7285リットルを実現した。年度によってテレワークの効き目はバラツキがあるが、かなりの費用対効果を感じている」(横澤氏)。
さらに、「従業員からは、“テレワークにより、精神的・肉体的な負担が軽減されて家族との時間が増えて業務に集中しやすくなった”との声が寄せられている他、業務における従業員による車運転の機会が減ったことに伴い、交通事故の発生が無くなり、自動車保険の料金が下がった」と付け加えた。
テレワーク環境の整備は、向洋電機土木の売上と社員の採用にも、目に見える形でプラスに作用した。同社における2018年度の売上は2011年度比8億円アップの16億円。2018年度の採用に関しては、新卒の応募者数が同比299人増の300人で、中途の応募者数は同比596人増の600人に及んだ。
「応募者数の急増は、働きやすい環境を作るために、テレワークを含むさまざまな施策に取り組む当社の姿勢を新卒と中途の求職者に評価されたことが要因だと考えている」(横澤氏)。
テレワーク導入による企業と従業員のメリットとデメリットに関して、横澤氏は、「企業側の利点は、電気代と通勤コストの削減、災害時の交通途絶とオフィス被災時の事業継続性、就労条件がある優秀な人材を雇用しやすくなるといったことだ。一方、欠点としては、在宅勤務に対応するための設備費用や情報漏えいのリスク、勤務時間とプライベートの切り替えの難しさが挙げられる。従業員にとっては、通勤による時間負担の軽減はもちろんながら、育児や介護で出勤が困難でも就業できることに加え、余暇時間が増えることがメリットになる。だが、デメリットでは、職場内におけるコミュニケーション不足や適性な評価への不安、会社への帰属意識の低下が懸念される」とコメントした。
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