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「テレワーク百選」に選ばれた向洋電機土木の建設業に効く、テレワーク活用法設備業ITフェア ONLINE 2021(1/2 ページ)

向洋電機土木は、2008年にテレワークを導入して以来、2018年度には従業員の平均労働時間を2008年度比で300時間減の1800時間とすることに成功した。また、テレワーク環境を整備したことを評価され、2018年度の採用に関しては、新卒の応募者数は2008年度比で299人増の300人となり、中途の応募者数は同比596人増の600人に及んだ。

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 全国設備業IT推進会は、設備分野の最新ソリューションなどを紹介するイベント「設備業ITフェア ONLINE 2021(会期:2021年2月9〜10日)」をオンラインで開催した。

 会期中に繰り広げられたセミナーの中から、向洋電機土木 広報部 部長 横澤昌典氏の講演「中小企業(建設)におけるテレワーク活用の事例とヒント」をレポートする。会場で横澤氏は、国内における労働人口の問題やテレワークの事例、有効性を説明した。

現場事務所のサテライトオフィス化で得られる移動時間の短縮


向洋電機土木 広報部 部長 横澤昌典氏

 向洋電機土木は、1965年に設立した電気工事会社で、現在の従業員数は39人。主要事業は、民間の老人ホームやインフラ施設など、屋内外の電気設備に対する設計・施工を展開している。テレワーク活用が評価され、総務省主催のコンペティション「テレワーク百選」で総務大臣賞と厚生労働大臣賞の受賞経験がある。

 セミナー冒頭、横澤氏は、「日本では近年、国民の高齢化と15歳以上65歳未満を対象とした生産年齢人口の減少が進んでいる。1990年代をピークに下がり続けており、2030年には2010年の8103万人から6803万までに減り、2050年には5003万になることが予測されている。将来生じる職員の高齢化による退職者の増加と若年労働者の激減に備えて、建設業は、生産性を高めるとともに、若年層が入職したいと思える環境を構築しなければならない。解決策の1つがテレワークの導入だ」と語った。


国内における生産年齢人口の推移 出典:向洋電機土木

 「テレワークのタイプは、場所で変わり、自宅利用型の在宅勤務、外出先でノートPCやタブレットを駆使して働くモバイルワーク、サテライトオフィスなどで仕事に従事する施設利用型テレワークの3つに区分される。このなかで施設利用型のテレワークは、建設業の強みを生かせる。なぜかというと、現場に設置する現場事務所は特定の条件さえ満たせば、サテライトオフィス化できるからだ。現場事務所には、事務作業をするための机やコピー機が置かれており、電気や水も使えるため、ICT設備を整備すればサテライトオフィス化も難しくなく、費用も他業種がサテライトオフィスを新たに設けるよりも安く済む」(横澤氏)。

 横澤氏は、建設業でのテレワーク効果を示す一例として、東京都渋谷区に住む社員のテレワーク活用事例を紹介した。この社員は、東京都文京区に在籍する建設会社があり、東京都目黒区の現場を担当し、住居〜会社〜現場と現場〜会社〜住居の移動時間がいずれも90分かかっていた。しかし、勤め先の建設会社が、現場事務所をサテライトオフィス化するとともに出社時の業務を在宅勤務で行える環境を整えたことで、現場事務所だけでなく自宅でも事務作業が行えるようになり、会社に毎日寄らずに済み、移動時間は住居と現場の移動にかかる60分のみとなった。1カ月換算では、これまでの総計60時間が20時間にまで短縮し、余剰時間を他の業務やプライベートに充てられるようにもなり、結果として、社員の負担軽減や仕事に対する満足度向上につながった。


テレワーク導入前の東京都渋谷区に住まいを持つ社員の通勤時間 出典:向洋電機土木

テレワーク導入後の東京都渋谷区に住まいを持つ社員の通勤時間 出典:向洋電機土木

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