木造床版のビス接合を半自動化する清水建設のロボ、手作業に比べ約4倍の効率性:ロボット
清水建設は、木造床版のビス接合を効率化する連装ビス打ち機「Robo Slab-Fastener」を開発した。Robo Slab-Fastenerは、エアシリンダーで上下動する電動ビス打ち工具4台を自走式台車に搭載した作業ロボットで、作業員が指定した施工条件に基づき、自走しながら床面に一定ピッチでビスを打ち込み続ける。Robo Slab-Fastenerを活用すれば、ビス打ちの作業効率が手作業の約4倍に高まり、木造床版工事の生産性が向上する。
清水建設は、木造建築工事の生産性向上施策の一環として、木造床版のビス接合を担う連装ビス打ち機「Robo Slab-Fastener」を開発したことを2021年1月27日に発表した。
毎分30本のペースでビス打ち可能
政府による「公共建築物など木材利用促進法」の施行を機に、中大規模の非住宅建築物にも木造化の動きが広がり、木造床版が採用される工事が増加している。一方、木造床版工事では、床面に設置した合板を大量のビスを使って張りつけていくため、電動工具の振動による手のしびれや作業時の中腰姿勢など、スタッフにかかる身体的負担が少なくない。解決策として清水建設は、ビス打ち作業の省力化と省人化を実現するRobo Slab-Fastenerを開発した。
Robo Slab-Fastenerは、ビスの自動装填機能を備えた電動工具4台やエアシリンダー、コンプレッサーを組み合わせたビス打ち機構、自動走行ユニット、制御盤、タッチパネル式操作盤などで構成される。ビス打ち工具は前後2台・左右2列に配置され、工具の間隔は前後20〜30センチ、左右7.5〜15センチの範囲で調整できる。
Robo Slab-Fastenerの使用手順は、まず、ビス接合の仕様に応じて工具の間隔を整える。続いて、タッチパネル上で、工具の取り付けとビス打ちのピッチ、移動距離を設定し、ビス打ちと移動の繰り返しパターンをロボットに自動計算させると、自動連続施工の準備が完了する。起動は本体の開始ボタンを押すだけで、後はRobo Slab-Fastenerが毎分30本のペースでビス打ちしながら走行する。
清水建設では、東京都千代田区の「(仮称)神田錦町一丁目計画新築工事」におけるCLT床版工事に、Robo Slab-Fastenerを適用し、ビス打ち作業の効率化が実証されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 鹿島・清水・竹中が施工ロボットの開発と既存機の相互利用で協業
鹿島建設、清水建設、竹中工務店の3社は、新規施工ロボットの共同開発や既存ロボットの相互利用を促進、研究開発費とロボット生産コストの低減を実現し、施工ロボットの普及を加速させるため、ロボット施工とIoT分野での技術連携に関する基本合意書を締結した。 - 適用進む“中間梁不要”の軽量鉄骨間仕切壁、西松建設
西松建設と八潮建材工業が2017年に共同開発した軽量鉄骨間仕切壁「マシッブウォール工法」は、発売から約1年で全国13物件に採用されるなど適用拡大が進む。2018年7月24〜26日に東京ビッグサイトで開催された「事前防災・減災対策推進展2018」では、ブース壁面に同工法で使用するマシッブスタッドを埋込・切断した断面を来場者に見せながら、その剛性と耐力を実現する仕組みについて解説した。 - 清水建設が新大阪のホテル建設で、3種のロボットと水平スライドクレーンを導入
清水建設は、新大阪で建設を進めている高層ホテルの現場に、次世代建築生産システム「Shimz Smart Site(シミズ・スマート・サイト)」を初適用し、作業員と一緒になって自律的に稼働するロボットを導入した。2019年から首都圏でも水平展開するとともに、ロボット開発を推進して適用工種の拡大を図っていくという。 - 大東建託が賃貸住宅のビス留めロボ「デービス」の試行開始、2020年12月の実用化を目指す
大東建託は、賃貸住宅を対象にしたビス留めロボット「D-AVIS(デービス)」の現場試行を開始した。デービスは人と協働するタイプの軽量・小型の施工ロボットで、実用化となれば今後不足が予想される大工職人を補うことや労働災害で多いビス止め作業をロボットに代替することが可能になる。 - フルハーネス対応の上向き作業用アシストスーツ、重さと価格が従来品の半分以下
ダイドーは、フルハーネスに対応した上向き作業用アシストスーツの最新機種「TASK AR3.0」を開発した。TASK AR3.0は、既存モデルの重さと比較して、50%以下の本体重量1.7キロを実現し、背中に密着しない構造とすることで装着性も改善している。 - 複数ロボが連携する制御技術を技研本館に実装、清水建設
清水建設は、建物内で複数のロボットがエレベーターに順番に乗り込み、ロボット同士が狭い通路を譲り合って通る統合制御技術を開発した。将来は、1棟のビル内で用途の異なるロボットを複数導入して、新たな総合的なサービスの提供を構想している。