フルハーネス対応の上向き作業用アシストスーツ、重さと価格が従来品の半分以下:製品動向
ダイドーは、フルハーネスに対応した上向き作業用アシストスーツの最新機種「TASK AR3.0」を開発した。TASK AR3.0は、既存モデルの重さと比較して、50%以下の本体重量1.7キロを実現し、背中に密着しない構造とすることで装着性も改善している。
ダイドーは、建築現場などで利用されてきた腕上げ作業用アシストスーツ「TASK AR」シリーズの最新機種「TASK AR3.0」を2021年5月に発売する。
アシスト力を1.5から3.0kgfまで無段階で調整可能
TASK ARシリーズは、建設現場で行われるビス打ちなどの上向き作業で生じる負担を軽減することを目的に開発された製品で、作業者が腕を48度上げると、駆動部に組み込まれたガススプリングが支持力を発生し、腕を胸の高さから頭上まで支える。腕を持ち上げる力を動力となるガススプリングのタイプを変更することで調整可能だ。タイプはレベル1〜4の4種類で、レベル1は2.2〜3.1キロ、レベル2は3.1〜4キロ、レベル3が4〜5.4キロ、レベル4が5.4〜6.8キロのアシスト力を生じる。
同シリーズは、フルハーネスに対応しており、高所作業で使え、電力を動力としない機構のため、メンテナンスのコストがほとんどかからない。2019年2月の販売開始以降、建築、工場、農作業の現場などで試用が進み、累計で200台の出荷実績となっている。
今回リリースするTASK AR3.0は、既存モデルの重さと比較して、50%以下の本体重量1.7キロを実現し、背中に密着しない構造とすることで装着性も見直しており、着用に要する時間も1分と短い。
また、動力にはショックコードを採用し、アシスト力は1.5から3.0キログラムフォース(kgf)までで、搭載されたつまみにより支持力を無段階で調整でき、さまざまな使用方法に応じられるようになった。TASK AR3.0の販売予定価格は、12万9800円(税込み)で、現行モデルの価格40万円と比べて安価になった。保証期間は購入してから1年間までを見込んでいる。
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