アプリで操作性をカスタマイズできる次世代ドライバ、工機ホールディングス:製品動向
工機ホールディングスは、スマートフォン向け専用アプリ「HiKOKI TOOLS」を用いて、操作性をカスタマイズできるコードレスインパクトドライバ「WH 360DC」を開発した。
工機ホールディングスは2020年10月6日、電動工具ブランド「HiKOKI」の新製品として、コードレスインパクトドライバ「WH 360DC」を発売した。販売開始に先立ち、同年9月28日〜10月1日に、東京都港区にある工機ホールディングスのオフィスで、WH 360DCの個別体験会を開催した。
従来製品と比較してビットの揺れを約17%軽減
WH 360DCは、18ボルトと36ボルトのリチウムイオン電池を搭載可能な「マルチボルト」シリーズの36ボルトコードレスインパクトドライバで、工機ホールディングス製電動工具におけるフラグシップモデルの1つ。最大の特徴として、ユーザーが、専用アプリ「HiKOKI TOOLS」を用いて、トリガーの操作性をカスタマイズできる。
トリガーの操作感をカスタマイズする手順は、まず別売りのBluetooth機能付きマルチボルト蓄電池を装着し、スマートフォンに専用アプリ「HiKOKI TOOLS」をダウンロードして、HiKOKI TOOLSとWH 360DCをBluetooth通信させる。次に、HiKOKI TOOLSの画面上で、「スイッチの遊び」「最低回転数」「最高回転数」「ソフトスタート」「低速域の幅」といった5つの設定を5段階で変更し、トリガーの操作感をカスタマイズする。
スイッチの遊びでは、トリガーをどれだけ深く押せばドライバ用ビットが回転するかを調整可能で、最低回転数と最高回転数では、ドライバ用ビットの最低回転数と最高回転数を変えられる。
ソフトスタートでは、トリガーを押してからドライバ用ビットがどれくらいのスピードで回転し始めるかを調節する。低速域の幅では、トリガーを押した後、ドライバ用ビットが最低回転数から最高回転数に到達するまでの時間を決められる。
アプリは、出荷時の設定に戻す「デフォルトモード」や従来機の設定に変えられる「クラシックモード」も備えている。
工機ホールディングス マーケティング本部 コミュニケーション室 パブリックリレーションズ 仲山直見氏は、「これまで、電動工具の新製品を開発する際には、本体の軽量化や締め付けスピードのアップなど機械のスペックを高めることに注力することが多かった。しかし、WH 360DCの開発では、利用者の使い勝手に着眼して、HiKOKI TOOLSで、ユーザーが操作性をカスタマイズできるようにした」と話す。
機能面では、従来製品「WH 36DA」と比較して、ビットの揺れを約17%軽減したことで、カムアウトしにくく、片手操作でもビスを倒さずに、打ち込めるようになった。トリガーの操作性を向上させたことで、使いやすくもなっている。
締め付けスピードは業界最速クラスで、例えば、金物ビスφ7.0×120LをWH 360DCを用いてラワン材に打ち込む場合は5.46秒で完了する。加えて、ビットの回転数などが異なる「ソフト」「パワー」「ボルト」「テクス」の4モードを搭載しており、用途に合わせて各モードを用いることで、効率良く作業を進められる。
左から「WH 360DC」の「アグレッシブグリーン」「ストロングブラック」「フレアレッド」「ディープオーシャンブルー」「フォレストグリーン」。手前が左からカラープレートの「チタニウムシルバー」「スカイブルー」「シグナルレッド」「バイオレット」「ライトゴールド」
本体は、ヘッド全長が業界最短クラスの114ミリで、重さも1.6キロと軽量コンパクトのため狭い場所で使いやすい。カラーバリエーションは、「アグレッシブグリーン」「ストロングブラック」「フレアレッド」の3色をラインアップしており、2020年11月には「ディープオーシャンブルー」と「フォレストグリーン」の2色が発売される。
また、ユーザーが、本体のデザインをカスタマイズできるよう、ボディーに取り付けられる5色のカラープレートを販売している。5色のカラープレートは「チタニウムシルバー」「スカイブルー」「シグナルレッド」「バイオレット」「ライトゴールド」。
WH 360DCの価格は、通常のマルチボルト蓄電池「BSL 36A18B」が2個、急速充電器「UC 18YDL2」が1個、ケースが1つ付属した「2XP」タイプで6万8100円。BSL 36A18Bが2個とケースが1つ付属した「2XN」タイプが6万100円、本体のみが2万3200円。
2XPタイプと2XNタイプともに、Bluetooth搭載マルチボルトは付属されておらず、容量2.5アンペアアワーのBluetooth搭載マルチボルトは別売りで2万5500円。カラープレートは、表用1枚と裏用1枚の計2枚入りで、取り付け用のネジが2本付き840円(いずれも税別)。
【訂正】:初出時、記事内容に誤りがありました。上記記事はすでに訂正済みです(2020年10月8日15時43分)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 職人と一緒に働く「トモロボ RTM1-X1-A1」に、省人化を実現するサポート装置が登場
建ロボテックは、人と協働して鉄筋結束を行うロボット「トモロボ」に、横移動を可能にする補助装置「トモロボスライダー」を2020年7月に発表した。トモロボスライダーの導入で、これまで2人必要だったロボットのオペレーターが1人で済むようになり、一層の作業性が向上した。 - アクティオと助太刀が協業、建機と工具のレンタル注文がアプリで完結
建設現場と職人をマッチングするアプリ「助太刀」は2020年3月、事業者の登録数が13万人を超え、業界でのシェア率が71%に達した。2020年6月9日には、運営会社の助太刀とアクティオが協業し、助太刀アプリに建機と工具のレンタルサービスが追加されることとなった。 - 現場で資材が購入できるDSに顔認証の入退管理を追加、全現場で導入
飛島建設は、現場で工具や資材を購入できるEC機能を有するデジタルサイネージシステム「e-Stand」に、建設キャリアップシステムに対応した顔認証で現場の入退管理を行う新システムを連携させた。 - 工具不要で緊急時に移動ができる中央分離帯の“ガードレール”を開発、NEXCO中日本
NEXCO中日本は、神鋼建材工業と共同で、中央分離帯のガードレールを交通事故などの緊急時に、工具を使用せず移動できるタイプの「レーンオープナー」を開発した。