感染制御学の第一人者が評価する“コロナに強い”清水建設の東北支社新社屋:ZEB(2/2 ページ)
清水建設は、2021年3月に完成した東北支店新社屋で、75%超の省エネ認証「Nearly ZEB」の取得を目指す。省エネ技術の一つとして、感染症対策で有効とされる床から天井へ向けて空調空気を押し上げ、上部で排気する「床吹き出し空調システム」を導入している。
揺れを震度階で2段階以上低減、電力を72時間供給
Nearly ZEBへの全体の寄与度としては、躯体蓄熱放射空調45%、LEDタスク&アンビエント照明23%、地中熱利用15%、建物高断熱11%、太陽光6%で合計100%を見込む。このうち、LEDタスク&アンビエント照明は、自然光と天井照明の照度調整により、通常の机上の明るさをPC操作に最適な300ルクス程度に保ち(アンビエント)、図面チェックのような小さな文字を読む際には机上のLEDライトを点灯することで(タスク)、通常のオフィスで求められる照度700ルクスを確保する。
一方で、仙台は繰り返し大地震に見舞われている地域でもあり、2階フロア下には12基の免震装置を設置している。建設地では最大震度5強の地震が想定されているが、免震効果により、執務階の揺れを震度階で2段階以上を低減することが期待されているため、災害発生後の事業継続性が確保される。さらに、太陽光発電と自家発電設備を連携させることで、非常時に館内で必要な電力を72時間は供給し、かつ約2000人日分の水と食料、仮設資材などの備蓄を充実させるなど、建設会社の使命である震災対策活動に備え、万全を期している。
清水建設は今後、東北支店新社屋を東北地方での先端的なオフィスのショールームとし、取得済みの社屋の省エネ性能を証明する「Nearly ZEB(BELS認証)」に加え、環境性能は「LEED認証プラチナ」、居住環境性能については「WELL認証プラチナ」の各認証取得を目指す。
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