空き家所有者の意識調査、全体の60%は活用を望むも、40%は「何もしていない」:調査レポート(3/3 ページ)
クラッソーネは、空き家を所有する30歳以上の男女331人を対象に、インターネットを用いて、「所有する空き家」に関する意識調査を行った。結果、対象者の約60%は活用を望むも、全体の約40%は「何もしていない」実態が明らかになった。
売却したい人は全体の60%以上
空き家になってからの経過年数を対象者に聞いたところ、「5年以上」と答えた人は全体の31.7%で最多だった。次いで、「分からない」は20.8%、「1年〜3年未満」は17.5%、「3年〜5年未満」は13.9%、「半年〜1年未満」は10.3%、「半年未満」は5.7%。空き家になってからの経過年数が「分からない」とした対象者が全体の約20%を占めた背景には、空き家となってから長期間経過していることが推測され、一定年数以上経過しているケースが多いことが窺えた。
「所有している空き家が、空き家になった理由」を対象者に質問すると、「親や親族から住宅を相続したから」と回答した人が30.8%で最も多かった。続いて、「以前住んでいた住まいをまだ保有しているから」は30.2%、「答えたくない」は14.8%、「貸家だったが、借主が見つからないから」は13.9%、「別荘・セカンドハウス用として購入したから」は6.9%となった。「以前住んでいた住まいをまだ保有しているから」との回答が多数見られ、相続と並んで、過去に居住した住まいの保有が空き家発生の理由になっていることが浮き彫りになった。
「現在、所有している空き家はどのような状態か」と対象者に尋ねると、「腐朽や破損はほとんどない」と返答した対象者が全体の35%で最多だった。次に、「屋内外で、部分的に腐朽や破損がある状態」は22.4%、「屋内外で、全体的に腐朽や破損がある状態」は16.0%、「分からない」は15.1%、「屋内外で、全体的に腐朽や破損があり、かつ、屋根の変形や柱の傾きなどが生じている」は11.5%と続いた。全体の49.9%が空き家に何らかの腐朽や破損があるとし、多くの空き家が多少のダメージを抱えていることが判明した。
「所有している空き家を、空き家のままにしている理由は何か」と複数回答可能の条件で対象者に聞いたところ、「売却や賃貸を希望するが買い手/借り手が見つからない」と答えた人は全体の43.5%で最も多かった。次に、「活用もしくは処分するにしてもお金がかかる」は30.5%、「空き家のままにしていても、特に困っていないから」は27.2%、「資産として保有し続けたいから」は13%、「家族や親族の意向で空き家活用や処分が進められないから」は13%となった。
上記の回答から、空き家を保有し続けている2大理由は、現金/家賃収入を得たいが、市場価値、流動性が低いために買い手/借り手が見つからないといった問題と、活用/処分に伴うコストのハードルであるとクラッソーネは推測した。
「行政としてどのような政策や制裁があれば、空き家の活用/処分を検討しようと思うか」という質問では、「空き家対応に関する補助金の充実」と回答した人は43.8%で最多だった。次に、「空き家の活用/処分の手段が相談できる窓口がある」は33.2%、「空き家を解体しても現在の税制優遇が維持され、固定資産税が上がらない」は29.9%、「空き家の活用/処分の事業者の紹介を受けられる」は23.3%となった。金銭的な支援を求める声が多い一方で、相談窓口の設置についても一定の需要があることが明らかになった。
新型コロナウイルス感染拡大前後の変化について対象者に聞いたところ、30代では、「家族会議の機会が増えた」と答えた人が39.4%、「空き家管理が進んだ」は36.4%、「売却や利活用を進めた」は28.8%、「売却や解体を進めた」は18.2%と、いずれも全体平均より10%以上高かった。従って、30代は、40代以上と比較して、コロナ禍で、空き家の活用・処分・管理などを進めた人が多数いることが判明した。要因には、外出自粛などにより在宅時間が増えたことで、遠方の空き家管理が難しくなったことがあるとクラッソーネでは予想している。
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