「改正都市再生特措法」が施行、空き地・空き家の利用促進で都市スポンジ化防ぐ:空き地・空き家対策
改正法は、「低未利用土地権利設定等促進計画」制度を創設するなど、都市機能誘導区域と居住誘導区域を中心に、都市のスポンジ化対策が総合的に盛り込まれている。2018年7月15日の施行に伴い、公共公益施設整備事業に関わる都市再生事業の規模案件は「0.5ha(ヘクタール)以上」とするなど、関係政令の整備も行った。
政府は、都市のスポンジ化に対応する「改正都市再生特別措置法」の施行期日を2018年7月15日とする政令を閣議決定した。その施行に伴う関係政令の整備も行った。
改正都市再生特措法は、人口減少により都市の内部で空き地・空き家の低未利用地が時間・空間的にランダムで発生する「都市のスポンジ化」が進行している状況を踏まえ、生活利便性の低下、治安・景観の悪化、地域の魅力が失われるといった支障の拡大を防ぐことを目的とした法律改正。
空き地は大阪府の半分、空き家数は愛知県の世帯数に匹敵
都市のスポンジ化は、地権者の利用動機の乏しさに要因がある。小さく散在する低未利用地は使い勝手が悪く、そのまま放置されてしまうことが多い。2003〜2013年の間に、空き地は約44%増加し、面積では約981km2(平方キロ)に拡大。空き家は約50%増え、約318万戸に広がっている。空き地面積は大阪府の半分、空き家戸数は愛知県全域の世帯数にあたるという。
これらのスポンジ化現象は、国土づくりの理念・考え方を示した「国土のグランドデザイン2050〜対流促進型国土の形成〜」のキーワードとされる「コンパクト・プラス・ネットワーク」の推進にも重大な悪影響を及ぼす。そのため、今回の法改正によって、必要な政令の整備を行い、空き家・空き地などの開発意欲が低く、有効な土地利用がなされていない「低未利用地」のさまざまな活用方法を促す。
7月11日に公布となった関係政令の整備では、都市再生特措法施行令について、都市計画などで特例対象になる関連公共公益施設整備事業に関わる都市再生事業の規模案件は「0.5ha以上」にすると改正した。
宅建業法についても、宅地建物取引士をして宅地または建物の売買などの成立までに「相手方らに説明しなければならない法令上の制限など」として、立地誘導促進施設協定に関する規定が追加された。
4月25日公布の改正都市再生特措法の要旨は次の通り。新たに「低未利用土地権利設定等促進計画」制度を創設し、市町村が低未利用地の地権者と利用希望者をコーディネート。所有権にこだわらず、複数の土地や建物に一括して利用権を設定できるようにした。また、都市再生推進法人(まちづくり団体など)の業務に、低未利用地の一時保有などを追加。さらに、土地区画整理事業の集約換地に特例を設け、低未利用地を柔軟に集約し、商業施設や医療施設などの敷地を確保可能とした。加えて、市町村は「低未利用土地利用等指針」を作成し、低未利用地の管理について地権者に勧告ができる。
「立地誘導促進施設協定」制度では、市町村長が周辺地権者の参加を働きかけ、空き地や空き家を活用した交流広場、コミュニティー施設、防犯灯など、地域コミュニティーやまちづくり団体が共同で整備・管理する施設についての協定を地権者と結ぶ。
「都市計画協力団体」制度は、市町村長が都市計画案の作成や意見の調整を行う住民団体、商店街組合などを指定することで、身の回りの都市計画の提案を可能にした。「都市施設等整備協定」制度では、民間が整備すべき都市計画に定められた施設(アクセス通路など)を確実に整備・維持できるようにしている。
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