赤坂ツインタワー跡地の再開発が始動、インバウンド需要に応える43階建て複合施設:プロジェクト(2/2 ページ)
森トラストとNTT都市開発が、赤坂ツインタワー跡地で計画を進める赤坂二丁目プロジェクトが本格始動した。森トラストでは、ニューノーマルのその先を見据えた再開発と位置付け、新たに建設する複合ビルでは、赤坂周辺の地域資源「江戸型山車」の修復・常設展示の他、訪日観光客の要望を満たすジャパンブランド発信施設の整備、国際級ホテルの誘致などを行い、赤坂エリアの国際競争力を高める方針を打ち出している。
高層階にホテルとサービスアパートメント
複合施設は、1〜3階までの低層階に、「(仮称)江戸ビジターセンター」の展示施設、飲食や物販の店舗、診療所などを配置し、5〜36階をオフィス、38〜43階をホテルやサービスアパートメントとする。江戸ビジターセンターは、地域資源の江戸型山車2台を常設する展示スペース(延べ約300平方メートル)、ミュージアム(延べ約1200平方メートル)、イベントホール(延べ約500平方メートル)から成り、VR/AR/ICTを活用したバーチャル体験や文化鑑賞を通して、武家文化などの歴史・文化に触れる仕掛けを展開する。
高層階のホテルとサービスアパートメントは、併設することで短期滞在から中長期滞在までの幅広い宿泊需要をすくい取る。24時間対応の多言語コンシェルジュを配し、フィットネスジム、ポーターサービス、ハウスクリーニング、江戸ビジターセンターの案内といった各種サービスを提供する。
環境配慮の観点では、熱負荷の低減を図り、自然エネルギーや次世代エネルギーを導入し、建物の単位面積あたりの年間熱負荷「PAL(Perimeter Annual Load)」及び設備の省エネ効率「ERR(Energy Reduction Ratio)」に関して、東京都建築物環境計画書制度における段階3(PAL20%、事務所ERR30%・ホテル及び飲食店25%)やCASBEEのSランク取得を目標に設定している。災害対策でも、系統電源停止時に、最大で平常時の80%かつ1週間の継続的な電力供給を可能にするエネルギーシステムやコージェネレーションシステム(CGS)の採用で、電力の多系統化とする考えだ。
森トラスト 代表取締役社長 伊達美和子氏は、「(仮称)赤坂二丁目プロジェクト」の着工に際し、「クリエイティビティを刺激するオフィス、東京の都市力向上に資するホテル、そして観光客のニーズを満たす歴史文化を発信するミュージアム、豊かな自然環境の整備などで、“ニューノーマルのその先”を見据えた多様な人々にとっての“目的地となる街”を目指す」とコメントしている。
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