竹中工務店の「深江竹友寮」がWELL認証シルバーを取得、集合住宅では国内初:WELL認証
竹中工務店の新入社員向け独身寮「深江竹友寮」が、WELL認証のシルバーランクを取得した。竹中工務店によると、これまで国内での取得実績は、オフィス用途がほとんどで、集合住宅でのWELL認証のシルバー取得は国内初の事例だという。
竹中工務店は2021年2月18日、2019年に竣工した兵庫県神戸市東灘区の教育寮「深江竹友寮(ふかえちくゆうりょう)」で、米国・健康建築性能評価制度「WELL Building Standard(WELL認証)」の「シルバー」ランクを取得したことを発表した。
自然を取り込み寮生の健康的な生活を支える“ウェルネス建築”の教育寮
深江竹友寮は、竹中工務店の新入社員全員が1年間入寮する教育寮で、職場での実経験と並び、企業理念の竹中精神を日常生活を通して学び、社員としての基本的な心構えを身に着ける場となっている。寮生は、団体生活を通して寮生相互の融和と人間関係の向上を図るとともに、共同生活の秩序規律と民主的協力関係、組織人としての自覚と自主的責任感の醸成などについても会得する。
旧寮の老朽化に伴う今回の建て替えにあたり、未来を担う新社員の心身の健康と豊かな生活環境の維持、そして寮生自身が健康や環境に対する感度を高め、能動的に環境づくりに取り組んでいく意識を育むことを期待し、今回のWELL認証取得に至ったという。
建物は、集合住宅であると同時に、研修施設としての機能も備えている。そのため、アメリカの公益企業で評価者のIWBI(International WELL Building Institute)との協議で、集合住宅の評価項目に加え、オフィスで適用される一部の項目も必須項目として盛り込み、建物の特性に合わせた審査・評価を受けた。
認証取得に向けた深江竹友寮のコンセプトは、空気、水、食物、光、フィットネス、快適性、こころの7つ。このうち、空気では空気質検査、換気量確保(ASHRAE基準)、CO2制御、建屋内完全禁煙、高性能フィルター・空気清浄機の設置などを実施し、水は水質検査・管理、飲用水へのアクセスに取り組んだ。また、食物は栄養成分・アレルギー表示、果物野菜の摂取促進、光は自然採光、照明器具のグレア抑制、フィットネスはアクセスしやすい屋内階段や階段利用、快適性はバリアフリー対応や熱的快適性(PMV±0.5)を整備。7つ目のこころは、健康に関するライブラリースペース配置をはじめ、バイオフィリア(屋内の緑化)、アートワーク、WELL AP(資格者)の参画などを行った。
深江竹友寮の建物概要は、所在地が兵庫県神戸市東灘区深江北町で、構造・規模はRC・S・SRC(免震)造の3階建て、延べ床面積は約6190平方メートル、建築面積は約2464平方メートル。建て替え工事は、竹中工務店の施工で、工期は2018年4月に着工し、2019年9月に完成した。
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