大林組が世界初となるホテルでのWELL認証取得:産業動向
大林組は、東京都清瀬市にある大林組技術研究所本館テクノステーションで、WELL認証を日本で初めて取得して以降、WELL認証の取得件数を増やしている。同社はこのほど、ホテルでのWELL認証を世界で初めて取得したと発表した。
大林組が、京都市下京区四条通河原町で、設計施工したホテル「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」が、環境や健康に配慮した建物を認定する「WELL認証(WELL Building Standard)」で、ゴールドランクを取得した。同社ではホテルでのWELL認証取得は、GOOD NATURE HOTEL KYOTOが世界初としている。
ホテル版のWELL認証評価基準を作成
2019年12月にオープンしたGOOD NATURE HOTEL KYOTOは、京都市下京区の複合型商業施設「GOOD NATURE STATION」の4〜9階のフロアに位置する。大林組は開発当初から、建物のコンセプト「心と体の心地よさの追求」がWELL認証と相性が良いと考え、認証の取得を施主に提案し、採用され、環境に配慮して建物を設計施工した。
今回、WELL認証取得に当たって、高く評価されたポイントは、清潔で安心な空間の構築や快適な入眠と起床を促す照明システムの採用、ローカライズした美しいデザイン、緑や自然を感じられる空間の整備、独自性の高いゲスト向けウェルネスプログラム提供の5点。
清潔で安心な空間の構築では、空気を清浄化する適切な換気方式の導入や新型コロナウイルスをはじめとする病原体の感染を防ぐ手洗い環境の設置とエントランス計画の作成、空間を清潔に保つ除菌清掃手順の設定などを行った。
快適な入眠と起床を促す照明システムの採用では、スムーズな入眠と起床を促進し、睡眠の質を高める照明制御システムをホテルの客室全てに備えた。
ローカライズした美しいデザインでは、客室を含むホテルの内部空間や中庭に地域環境に根差した意匠を施し、日本と京都のイメージを表現するとともに、地域の景観条例にも準拠した。
緑や自然を感じられる空間の整備では、ホテルの屋内外からアクセスできる中庭に、テイカカズラの「大緑化壁」やWELL認証の要件である水景に代わる「枯山水」を設置し、京都市繁華街の中心にありながら緑や自然に囲まれて過ごせるスペースを構築。
独自性の高いゲスト向けウェルネスプログラムの提供では、ホテルゲスト向け館内外体験ツアーの実施や、健康への意識付けを高めるオリジナルアメニティーの設置を進めた。
上記の5点は、これまでWELL認証の評定対象ではなかったが、大林組やビオスタイル、同認証の運営管理を行うInternational WELL Building Instituteが、ホテル版の基準を作成したことで、評価項目に加わった。
また、同ホテルでは、環境に配慮した優れた建築物を作るため先導的な取り組みを評価するグリーンビルディングの国際的な認証プログラム「LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)」で、シルバーランクも取得している。
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