空撮映像から災害状況をAIで把握する映像解析技術を日立が開発
日立製作所はドローンやヘリコプターによる空撮映像から、災害状況を高精度に解析できるAI技術を開発し、国際ワークショップの災害映像認識タスクで、トップレベル精度を達成したことを発表した。
日立製作所は2021年2月19日、ドローンやヘリコプターによる空撮映像から、災害状況を高精度に解析できるAI(人工知能)技術を開発したと発表した。国際ワークショップ「TRECVID 2020」の災害映像認識タスクで「トップレベル精度」を達成したという。
洪水や土砂崩れなどの災害時は、空撮のための無人航空機(UAV:Unmanned aerial vehicle)の導入が進められ、AIを活用した映像の自動解析に注目が集まっていた。一方、災害によっては学習データ数が少なく、認識精度に影響が出るという課題があった。さらに広範囲を撮影した映像では状況を正しく認識するのが困難だった。
今回発表した技術を用いることで、災害発生時、人がすぐにはたどり着けないような現場の状況を、迅速かつ容易に把握できるようになる。映像内に映るものが複数でも、同時に精度良く認識し、広範囲を撮影した映像の中から、人が見つけにくい小さなものも識別できるという。
また、学習サンプル数が少なくAIに教えることが困難な災害状況に対しても、精度良く認識することが可能だ。見逃しや誤分類などの誤った情報を多く含む学習サンプルに対応したAI学習手法によって、人でも判断が難しい災害状況の誤認識や見逃しを防止するという。
同技術は、アメリカ国立標準技術研究所が主催する映像解析のワークショップTRECVID(TREC Video Retrieval Evaluation) 2020の災害映像解析タスク(DSDI)で、全17チーム参加の中、外部データを使用しないチームにおいてトップレベルの認識精度を達成した。
DSDIでは、収集した大量の映像データが、「浸水家屋」「橋梁(きょうりょう)倒壊」「地滑り」「瓦礫(がれき)の山の存在」など、どのような状況に当てはまりそうか、その度合いをランキング付けして予測。ランキングの予測と正解を比較することで、AIの認識精度を評価した。
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